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■この映画についてあまりにもたくさんの感想があるけど、書くのが大変だからかいつまんで。


まず、ビスコンティ監督は多くの人を撮るのがとても上手い。
戦闘シーンや舞踏会はほんとにすごかった。

たとえば黒澤さんも多くのエキストラを使って群集を撮ったけど、それとは違う。
"山猫"の群集シーンはより複雑で自然なのだ。
言ってみれば、画面に映っている人間の一人一人が思いのまま動いているよう。

黒澤さんの場合は(日本歴史の合戦というのもあって)統一された動きである。
キャストは同じように統率された動きをする(また、どこかぎこちないのは日本人エキストラだから仕方がないのかもしれない)。

しかし“山猫”の群集はそれぞれが違う自由意思で動くようだ。
周到な準備と練習の積み重ねを要したのか。またはある程度各キャストに自由を与え、流れに任せていたのだろうか。
どちらかといえば前者のような気がする。
それにしても驚異的だ。感嘆しながら観つづけた。

自然の描写もとんでもなくいい。
シチリアなのかな?サリーナ公爵(バート・レイノルズ)が猟の合間に山に目をやると、カメラもそっちにパンする。そのときの広大な自然。
あんなに素晴らしいロケ地はもうないし、あれほど美しく撮ることも不可能ではないか。

こういう映画を観ると、今の特撮のなんと味気ないものなのかが分かる。
特撮はいくら技術が進歩しても所詮はインチキでしかない。作り物だという匂いは消えない。

30年代ならいざ知らず、60年代でもこのような映画が作られたのは信じがたい。


アンジョリーナが真っ白いドレスで登場したとき、おれはあまりの美しさに呆気にとられ、なぜか涙がこぼれた(そういう説明できない涙がなんどか流れた)

しかも彼女は単なる美人ではぜんぜんない。
下品な馬鹿笑いをするし(それもまたよく似合う顔なのだ)、タンクレディ(アラン・ドロン)を巧みに操る頭のいい女だ。

そういうキャラクターがごく自然に描かれるのがまたいい。
余計な説明や解説はもちろんない。

白眉はそう、サリーナ伯爵とタンクレディの許婚アンジョリーナのワルツだ。
これだけでも観た甲斐がある。
高貴で悲しげ、いろんな人たちの想いが一挙につまった極上のダンスだ。


全編印象派の絵画そのもののような世界。
これを観たならば新国立美術館に行かなくともいいかな。

と書いてもまだ十分の一程度しか書いていないが、疲れたからもう辞める。




とにかくこの企画をしたTOHOシネマの方々には感謝を申し上げる。

まだまだ映画館で観たい映画は山ほどもあるので、午前10時の映画祭は今後もつづけていって欲しい。切に願う。

一般よりリクエストを受けつけるのも面白いのではないか?

多くの人の関心が集まってますます映画のおもしろさが浸透するはずだ。

今のような安直な日本映画が映画だと勘違いしている不幸な人たちの救済にもなる。