■12年ぶりのJ・キャメロン新作となれば観ないわけにはいかない。

正月休み最終日(1月3日)のレイトショーはヒット作品でもさすがにゆったりと観られた。


事前に観ていたアバターのCMでは大まかなあらすじを紹介している。

その中盤までのストーリー展開と映像を見た限りでは、いまいち期待がもてなかった。

CG(コンピュータ・グラフィックス)に偏りすぎて内容での訴えかけが足りないのでは?と。

しかし、本編が始まってから終了までの2時間42分、俺はただただ圧倒されっぱなしだった。

こんなすごい映画は今まで観たことがない。キャメロンはほんとうにとんでもない映画を撮ったものだ・・・という感想がまずでてきた。

キャメロンは人(他惑星の生物も)の感情から起こる“感覚”を細かに、そして徹底的に表現する。


(以下ネタバレ有です)

たとえば主人公ジェイクがはじめてアバターの身体でフラフラと立ち上がり(本来のジェイクは足が不自由というかせがある)いてもたってもいられず外に飛びだし、走りだすシーン。

ジェイクの爆発しそうな歓喜の感覚がリアルに観客に伝わる。

「そうそう!こういう感覚わかる!」すごく興奮するシーンになっている。

全編そういう感覚のリアルさが伝わる。こういう手法はとてもうまい。

ストーリーも監督自身が書いていて(そうでなくちゃいけない)、対立する人間模様やどうにもならない葛藤の表現などもとてもうまい。心理面でもぐいぐいとスクリーンに引きこまれた。

“生きること”に対する執着心も健在。

どんなことがあっても俺は絶対に生き抜いてやる!または、この人を生かしてあげたい!という生への強い執着はキャメロン長年のテーマだ。

「アビス」や「ターミネーター2」でも俺はここにいちばん惹かれたものだ。

今回の作品でも生きる力をだいぶもらった。


ただ、不自然な箇所があった。2つほど。

これは編集が別の人に委ねられているからだろうか。

カットされた今回の時間でも3時間弱と長めだから、ここを考慮されたのかと察した。

1つの不自然なシーンは、ジェイク達がヒトに捕らえられ独房に入れられるところ。

3人は意気消沈して独房で肩をおとしている。

しかしすぐに仲間が現れ、いとも簡単に彼らを逃がす。

こんなにすぐでは脱走に成功したという喜びを感じられない。

もう一箇所中盤あたりに編集でやられたなというのがあった。

おそらく数年後にキャメロン監督自らが編集したディレクターズカット編が出るんじゃないか。


しかし、そうとうおもしろい映画であることは間違いない。


俺はこれを2D版で観たんだけど、3D映画としても話題となっている。

3Dという媒体はこれからのTVの売行きを担うという経済的期待もあって注目をあびている。

だけど、アバターのような優れた作品(ソフト)がなかなか作られるわけではない。

安易な視覚効果だけをウリにした作品が平然と出ることにならないかと心配している。

そうなると観客と創り手の低下を招くだけになってしまうからだ。

おそらく創り手は3Dを意識して製作するはずだから、撮り方や物語の展開は変化するだろう。

3Dありきの映画。

どうなんでしょうか。

映画はあくまで内容。脚本が左右する。その脚本を活かすのは監督の手腕。