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■昨日のマリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団の演奏会はそんな体験ができた(サントリーホール)。

はじめのベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。じつはベートーヴェンではめずらしくあまり入り込めていない曲なんです(CDもさほど持っていない)。

実演でもムターのヴァイオリン 小澤征爾指揮ボストン交響楽団で聴いたこともあるけど、どうもしっくりこなかった。

しかしこの日の五嶋みどりさんのヴァイオリンとオケからは、この曲のおもしろさ、深さをはじめて知った気がした。

第1楽章は芯の強いはかなさに満ちていた(第二楽章も)

ミドリさんの全身全霊、渾身の表現にオケがそっと寄り添う。

PPでもしっかりと聴こえてくる。

彼女はこの曲で弱音をことさら意識しているようだ。

この曲は一般に抱かれているベートーヴェンの激しい一面とは別の静かで寂しげな面がでている。

これを作曲した背景を調べてみよう、作曲者は大変な時代だったのかもしれない。


ヤンソンスとバイエルンの響きはやっぱり最高だった。

序奏の木管の美しさに感動して涙がこみ上げてきそうだった。


それにしてもなんという素晴しいオーケストラなのだろう(何度もそうおもった)。

第三楽章ではオケもベートーヴェンらしい強さが存分に出ていた。

低弦がドイツのオケらしく重厚で意味のある響きを実現していた。



ミドリさんはアンコールもやってくれた。

バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番から2楽章。

これもミドリさんらしい強いバッハだった。

強いといっても音が大きいわけではなく内容が強いということ。ベートーヴェンよりむしろこのバッハの方が感銘がおおきかった。


■後半のチャイコスキー『第5』

ザッザッザッザ・・という運命にむかって歩くような演奏が全編を支配している。

第ニ楽章と終楽章がもっとも良かった。

特に第二楽章のはじめ、低弦のあの音はなんだろう、あんなのは聴いたことがないし、オーケストラってあんなふうに表現できるものなのか・・

とても恐ろしい闇のような響き。

大きな震災があったあとの廃墟を連想させる。

建物も人もそこにはいない。ただただ荒廃した風景がひろがっているような・・


終楽章はじつに立派で輝かしい演奏。

もうここまでくると文句のつけようがない。

すっかり大満足だ。

オーケストラを聴く喜びにすっかり身をまかせていた。


■しかもアンコールをやってくれる。

彼等は観客を最大限楽しませようとしている。

いつの来日公演でも彼等は聴く人を大切にしているようだ。

シベリウスの悲しきワルツなんかもなんとも言いようがない。

言葉では到底書けないくらい感動したし、うつくしすぎた。

これとその後のヨーゼフ・シュトラウスのポルカは前日にFMでの生中継を聴いていた。

しかし実演で聴くことの違いに驚いた。

これほど印象が違うものなのか!

音楽は現場で聴かないと真価はぜったいに分からないものだとさ!!

取り急ぎの報告でした。


じゃんじゃん!