■世界最古のオーケストラのひとつ、ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団をはじめて聴いてきた。

イタリア人指揮者のリッカルド・シャイーが音楽監督だからなのか、おもったよりあかるい響きだった。

はじめのメンデルスゾーンの“宗教改革”は、躍動感に跳んだ演奏。

シャイーの指揮ではあまり聴いたことがなかったんだけど、彼はオケをコントロールするのがとてもうまい。

もう思うがままに操れるようで、これほど上手い指揮者ってそうそういないんじゃないか?くらい上手い。


演奏は緩急がはっきりしている。(後半のブルックナーも)

宗教改革は何度か他の指揮者で聴いたけど(CD)、どれよりも活き活きと生気に満ちている。

この曲ってこんなにおもしろいのか!とそれまでのイメージが変わった。

こういうテンポのいい演奏は好きだ。


後半のブルックナー“ロマンチック”は編成がぐっと大きくなっている。

左右両翼に配したヴァイオリン。その左手後方にコントラバスが陣どるという珍しい編成。

俺は例によって桟敷席だったので、正面から聴いたらどんなふうに聴こえるのだろうか気になった。

第一楽章の朝の風景。減の最弱音のトレモロが聴こえるか聴こえないかくらいの始まりで、とても神秘的だ。

彼はここでもテンポを大きく変える。

勢いあるところはクレッシェンドに加速をもたせ、ゆっくりのところはとてもよく歌う。

ブルックナーは、どっしりと梃子でも動かないような演奏が多いなか、シャイーの解釈はすこし異なる。

これは“誰にでもわかりやすい”ブルックナーでもある。

どのパッセージでも最大限の音楽のよろこびを際立たせる明確な演奏。

これには賛否両論だとおもうが、俺はとても好感をもった。

幾度も最高の幸福を感じることができたし、ブルックナーに対する想いは深いものになった。


この演奏を聴いておもった。

優れた巨大な建造物(自由の女神とかをイメージしてもらってもいい)をいろんな角度から見つめているようだ、と。

1つのものを、みる角度によってはいろんな感じ方ができる。

ブルックナー特有の、激しい感情の爆発から、一変しておだやかな風景が広がるような、そんな落差。これが自分にとってのブルックナー音楽のおもしろさ。

そして、いちばん大好きな第二楽章の葬送行進曲風のつぶやき。

身体のなかが浄化されるような精神的なうごきを感じた。

とてもすばらしい楽章だった。

リッカルド・シャイーの指揮はほんとうに魔術師のように卓越していて“やりたいことはなんでもできる!”といった自信を感じた。

次回も来日したら聴いてみよう。


じゃんじゃん!