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久々の音楽の話題です。


■来年はポーランドの作曲家フレデリック・ショパン生誕200周年にあたるので、世界各地でショパンのリサイタルが予定されている。

この作曲家には特に想い入れがある方は多いのではないか。俺もその一人だ。

あの独自のメロディーラインを聴いたとたん深い別世界に踏みこんでしまったような、日常と乖離した気分になってしまう。

その感覚はとても心地よく現実逃避になるし(笑)、またはその反対の、重苦しく寂しい現実そのものを直視させられることもある。

来年どんな演奏会が開かれるか、いまから楽しみだ。


■今年1月のベルリン・フィル定期演奏会(指揮:小澤征爾さん)ではラン・ランのピアノでメンデルスゾーンのピアノ協奏曲を演奏した。

その中継を聴いた(FM)。

終演後、鳴り止まない拍手に応えて演奏したのがショパンのエチュード集から『別れの曲』

この『別れの曲』はいままで聴いてきたどの演奏ともまったく違っていた。

それまでのイメージでは、きれい、親しみやすい、心地いい、という曲だった。

しかしラン・ランの演奏は、めちゃくちゃ激しい『別れの曲』なのだ。

冒頭はゆったりで折り目正しいあゆみ。

タン、タン、タタタン・・・タタタ タン・・・タタタ、タン、タ タタタタタン・・・うつくしく締まったメロディー。

しかし、中間部では表情が一変する。

突如、すさまじい強打の連続と、疾走!

感情剥きだしで恥ずかしさも体面もない。ただただ悲しみのどん底にいる主人公の、どこにも持っていきようのない怒りや落胆や傷ついた心と理性とのぶつかり合い、もだえ、葛藤。

こんな言葉ではとうてい言い表せぬ痛々しい別れなのだ。


でも、これこそがショパンの言いたかったことなのではないか。


別れには様々なものがあるが基本的には平坦できれいなものじゃない。激しい感情の変化が起こる。眠れず平常心ではいられないことだってある。

ラン・ランの演奏はそういう人間の等身大にたっている。

単に「ああ、美しいなぁ」と感じるショパン演奏では本当のショパンのことを分かっていないということになる。

来年ラン・ランのリサイタルがあれば行ってみたいものだ。


■次はBSで生放送したサイトウ・キネン・オーケストラのBプロ

小澤さんの指揮でラヴェルとブラームス。

ラヴェルの『道化師の朝』は精緻でとても美しい演奏。

ただラヴェルの音楽に酔うにはもう少し“ゆれ”があったほうがいい気がした。小澤さん特有の決まった枠内でのテンポ設定では大胆なゆれが難しい。それが遊び心の不足におもえてしまい、惜しいな、と。

ただ会場で聴いていないので、実際にはどのように響いたかが分からないのだが。

次の歌曲『シェーラザード』はとても良かった。

エキセントリックな怪しさが出ていたし、歌詞もあんな感じなんですね。知らなかった。

さて、メインのブラームス交響曲第二番。

はじめ聴いたときはティンパニの響きが強すぎて正当な評価は難しいとおもったら、昨日改めてちゃんと聴いたら気になるほどじゃなかった(なんだったんだろう・・)。

その演奏は、濃厚で甘いブラームスだった。

甘いというより、“ふくよか”といったほうがいいかな。

弦楽器群の重厚で意味の深い響きがとくにすばらしいとおもった。

ここ一番での歌う場面ではテンポをおとして、それまで以上の分厚い響きを実現していた。

奏者は真剣な表情で力の限り弾いている。

サイトウ・キネンはその音楽に対する想いがとても強いのが特徴だとよく言われる。

この日のブラームスはそれがよく出ていたんじゃないか。

今まで聴いたサイトウ・キネンの演奏では熱さの点でベスト1かもしれない。

TVでヘッドフォンをして聴いていたんだけど、感動のあまりじんわり涙があふれてきた。



■それと、つ、ついに発見したんです!

もう7、8年くらい探していたかもしれないCDを!

渋谷のタワーでこのまえ!

オリジナルサウンドトラック『レイダース失われたアーク』(1981)

インディ・ジョーンズシリーズでは唯一この作品だけが大人向けになっていて見応えがある。

それに乗じて音楽もかなり充実している。

スピルバーグ監督作品のほぼすべてをジョン・ウィリアムズが作曲と指揮を手がけている。

“レイダース”公開当時にLPを買って、以来愛聴盤になっていた。

けども、その後CDとして発売されたものは曲数が格段に増えているのだ。

これが欲しくてCDショップに行くと必ずサントラコーナーで探していたんだけど、どこにも売っていない。いろんなところに尋ねてみたが廃盤になって手に入らないだろうとのことだった。

それが、いきなり売っていたからびっくりした。

さっそく聴いてきると、とても生き生きとした演奏で、うれしくなった。

ロンドン交響楽団のダイナミックで柔軟性にとんだ演奏がすばらしい。

このころのロンドン響は映画音楽をずいぶん手がけており、スター・ウォーズも全作そうだ。

映画で使われた音そのものだからオリジナルサウンドトラックというのだろうけど、別撮りしたものを収録しているときがある。

そういう音源はどこか生気がなくなっていて、大人しく物足りないのだ。

映画館でみた(聴いた)臨場感がそぎ落ちている。

しかし、この“レイダース”は完璧。

テンポも映像に合わせて動かしているので、ヒヤヒヤ、ドキドキがそのまま楽しめる。

こういうのを聴くとウィリアムズのスコアの多彩さと指揮のうまさに改めてすごいなぁとおもう。

もともと俺のクラシック好きもウィリアムズの映画音楽から始まったから、今また彼の音楽で新たに感動できたことがとても嬉しい。


じゃんじゃん!