
様々な人たちと接することによって、世の中全体が見えてきたり、自分の正体の一部が発見されたりするもので、できるだけ多くの人と接していきたいという欲求は、大人になってしばらくしてからもつようになった。
そんな意識だから、同じ環境のなかにずっといるのは“時”がもったいないとおもってしまう。
それに性格上群れることが苦手というのもあってアフターファイブは“会社”から離れていく(たぶんどこの組織にいたとしても同じふうにしているだろう)。
違う環境の人と会って、さらにその先にいる人にも興味がある。
そういう人の連鎖をどんどん辿っていく“冒険”はおもしろい。
そういう連鎖のチェーンをどんどん伸ばしていくと、10年後にはどんな人と繋がっているのか。未知の世界についワクワクしてしまう。
■これが偶然であるはずがない。なにか重要な意味があるのだ。このサインを注意深くとらえなければならない。
その日はシナリオ学校だったから青山にいくことになっていた。
朝、なんで安藤忠雄さんの本を青山ブックセンター(ABC)で探そうとおもったかは忘れたけど、武蔵野線のなかで山本周五郎さんと安藤さんの本を買おうと考えていた。
夕方、ABCに行くと、入り口近くに安藤忠雄コーナーがある。
書店の中をウロウロせずともお目当ての本が目の前にある。「なんとラッキーな・・・」
CasaBRUTUS9月号は彼の特集。手にとってページをめくる。
インタヴューでの強い言葉が目に入ってくる。
「人間というものは、考えて苦しみ、考えて苦しみ、苦しみつつも前進しながら生きていく。そしてその間に、生きる喜びを味わいながら、社会の理不尽への“怒り”を乗り越えていかなくてはならない。その思いの深さ、情熱の激しさが人間の生の原動力になる」
「どっちにしても人生一回です。ならば最後まで夢を追いかけて、人生をまっとうしたい」
独自の人生哲学。
建築をとおしての彼の言葉には、ほんとうに日本のこと、地球のこと、人間のことを、深く真剣に考えて実行している人物でないと語ることのできない重みがある。
そんなふうに立ち読みしている横で、何人かの人が机や椅子を出したりしはじめた。
「なにかのイベントをやるんだな」と何気なく見ていた。
すると、え?これってもしかして?‥目を疑った。
“安藤忠雄サイン会”の看板。
いま??ここで???これから????
CasaBURUTUSを手に持ち、混乱する現実を整理しようとする。
間違いない。今日だ。これからここに安藤忠雄さん本人が来るんだ。
・・なんなんだ、この流れは・・
俺っていままで信じがたい偶然的な出来事は数多く経験してきているんだけど、こんなに極端なのはない。
どんな下手なシナリオライターでもこんなベタな展開は書かない。
でも現実におこっている。
今朝がた、生まれてはじめて安藤忠雄さんの本を買おうと決めて、偶然立ち寄った書店で、あと数分後にその本人が来て、ここでサイン会をやる。
いくらなんでも出来すぎだろう。
出来すぎだ。だからこう考えた。
これは当然偶然なんかではなく、まったくの必然。
自分にとってなにか大切なメッセージがある、という報せ。
これからの自分にとって重要なヒントがある、と、そうとらえることにした。
それがなんなのかは今はまだ分からないし、実はそんなものは何にもないのかもしれない。
でも、安藤さんの活動や考え方を知って自分なりに考えを深めてみようとおもっている。
サインに応じていた安藤さんは終始笑顔で楽しそうだった。
当然俺もサインをいただいた。
Bob・Andouと書いてくれた(笑)