
■「こりゃオスカーとるわな」ってのが観おわった直後の感想。
この作品には映画ならではのおもしろさと興奮がたくさん詰まっている。
究極のエンタテイメントだ。
むきだしの映像。
インドでのロケが功をそうして野生的でスリリングな映像に成功している。
しかし、いちばん優れているのは濃厚な人間関係とクイズ番組を最大限利用したドラマ性。
どん底から頂上へ登りつめようとする主人公と、それをとりまく弟と恋人の妙な(三銃士)関係。
終始この軸がぶれないで最後まで魅せる。
この構成は優れた映画づくりの基本であり、とても参考になる。
超現実的で厳しいストーリー展開だったのが、終盤、兄からラティカ(ヒロイン)へ車のキーを渡すところから、ガラッと方向が変わる。
ケイタイとミリオネアというクイズ番組の特性を活かした劇的な展開に、観るものをぐいぐい引き込む。
うまいアイデアだ。
これを思い浮かんだとき、作者はさぞや興奮しただろう。
ただ、1つだけもったいない。
ラストシーン。主人公とヒロインがやっとなんの壁もなく会うことができるシーン。
ここがあまりにもアッサリしすぎて感情移入ができなかった。
なんとなく不自然な流れだったから、編集でカットでもされてしまったのだろうか(ハリウッドでは分業になっており監督の意思とはウラハラに編集でカットされてしまうのだ)
近年でも見応え十分の素晴らしい作品だけに、このラストが惜しい。
インドのロケ地はすごい。
貧富の差がものすごく大きい国だということは聞いている。
あの映画のまんまかどうかは分からないけど、あの映像を見せられるとそれだけでインパクトがある。
兄弟で列車の上にいるシーン。
あそこまでじゃないけど、ガキの頃のオレの体験とだぶった。
当時の常磐線には機車が客車をひっぱる列車があって、走っている間もドアが開いた。
それをねらって近所のガキ共と遊んだ。
北千住から柏までの間、ドアをあけて違う車両に外側からまわる。
カーブでの客車はけっこう揺れて棒をにぎる手にも汗がにじむ。
スリルを楽しむわけだけど、落ちたら死ぬ。
でも小学校ながら自分は落ちないようにしていたし、落ちない自信があった。
誰も落ちなかったし、けっこう子どもは安全を考えて遊ぶものだ。
大人からみたら危ないことでもそれほど危なくはない。
そうやって子どもは何かを学んでいくのだろう。
スラムドックの子ども達は、今でもその環境だから、生活自体はそれは大変だろうが、たくましさでは日本のガキよりも数倍も上だ。
こういう映画はなかなか観られない。
視覚効果をねらったショッキングな映像を観客は求めているし、作り手もそれを知っていてつくる。
しかしそれでは本当の満足は得られない。
内面でも強い訴えかけがあるこのような映画がオスカーをとったことはとても意義あることだ。
じゃんじゃん