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ネタバレ、大いにあります^^;

■たけしさんの最近の傾向と言っては失礼だけど、この作品もとても丁寧に撮っている。

CMから察すると、今回は比較的分かりやすく夫婦の愛情といったあたたかな作風かと思っていたけど、違う。そこはやっぱり“たけし風”だ。

全編に厳しい死が色濃くでている。

重要で身近な人がいとも簡単にあっさりと死んでいく。そしてそれは生々しい。

たけしさんが描く死は、しばらく頭のなから離れない“現実味”がある。

後味が悪い。

それだけ身に応えているのだろう(もちろん死は心地いいものではないのだから)


よき理解者であるカミサン(樋口さん)以外の重要な人はみんないなくなってしまうんじゃないか。

ヤクザの抗争とかで死ぬのでなく、一般の人が死を選んでいくという、身近さ、そして不可解さ・・

こういう死は観客にテーマを投げつける。“生と死”という人にとって逃れられない根源的なテーマを。


それにしても、今回の作品は迷った。

迷ったというか納得できない部分があった。

ラストシーン。

樋口さんのやさしい笑顔の語りかけで、それまでの苦しみから開放されて爽やかな感動を覚えた。

しかし、映画館を出てしばらくすると、これはちょっと違うな?と思った。

主人公の真知寿(ビートたけし)は、己の芸術の達成のためなら周囲のことなんか気にならない“芸術バカ”である。

それを徹底して描くところに今回のおもしろさと危うさがある。

「最後にこの男どうなるんだ?」とワクワクして観ていた。

どんな奇行も淡々とときにコミカルに描いているが、「人間じゃない」男なのだ(これはたけしさんの映画に共通する冷徹さというかあっけなさ、それでいてどこかあたたかい人物像なのだ)。

自分の娘が闇の世界から抜けられない果てに死んでしまうが、その死すら悲しいと思わない。

死顔をも芸術にならないか?とそういう視点でみる。

結果、とうとうカミサンから愛想をつかされて、完全に1人になったかと思ったが

それでもそのかみさんはマチスの前に帰ってきた。

とってもやさしい笑顔で「かえろう」って。

それは“最良の理解者として”どんなことでもすべてを許すという視点ということであるかもしれないが。

それにしても都合が良すぎやしないか?と思った。

これが“好きだから”ということなのだろうか。

わからない。

このラストシーンは???だ。

アキレスは本当に亀に追いつたのだろうか。

あとでなにか気がつくかもしれないが、今はどうも納得できないな。



『アキレスと亀』の話しも冒頭にアニメで紹介しているが、なるほどそういうことか、と。

それはあくまで(数学上の)1つの視点に過ぎない。

距離を11mにしたとたんに抜かれるのだが、あの考え方では抜けない。永遠に・・・



しかし、今後の公開予定の作品には観たいものがない。

というか、興行収入のことしか考えていないような安直な作品・・

動物ものとか、先のよめる安直な恋愛ものとか・・

しかもこいういうのがヒットしてしまう現状にも「なんだかなぁ~」と失望してしまう。

作るほうも作る方だが、これで満足してしまう観客って・・・