
これは大変興味ぶかく、おもしろい内容だった。
人間カラヤンを多角度から考察しており、海外の優れたドキュメンタリー番組も紹介したりして、これまで知らなかった一面をうかがうことができた。
■僕は残念ながらカラヤンの実演を聴くことができなかった。
20数年前のサントリーホールでの杮落とし公演で、カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のチケットを入手したが、直前で急病のため来日できなかった。
このコンサートは特別なコンサートでパーティー付(!)であった。
チケットには「正装でお越しください」などと書かれており、当時大学1年だった僕は正装なるものをもっていなかったため急いで買いにいった。
チケット代は確かS席が75,000円だったかな?(オペラよりも高いっ!)
なので、さすがに完売はなかったから手に入った(バイト代を全部つぎ込んだ)
このコンサートは小澤さんがカラヤンの代役をつとめ、パーティーはなくなった(正装は正装だったと記憶している)。
しかし、このパーティーとはいったいどんなんだったのだろうかと思う。
休憩時間にホールのロビーをうわついた気分で歩いているとき、僕みたいな若造には出会わなかった。
みんな経済界や音楽業界のツワモノのような高齢のおじさんたちで、僕を奇異な目でみていた。
そんな人達が出席するパーティーに若造が一匹いるという状況はいま思えば笑えるし、めったに体験することが出来ないであろう貴重な機会を逃したな、と思うのだ^^;
■その数年後に最後の来日公演があったが、チケット入手は友達と電話をかけまくったがあっという間に完売・・・
それでもこれがおそらく最後の来日になるだろうと思っていたから、上野の東京文化会館まで演奏終了後のカラヤンを一目みようと駆けつけた。
大ホールからもれてくるカラヤン指揮ベルリン・フィルの音をかすかに聴いた(たしかムソルグスキーの展覧会の絵)
終演後の上野駅公園口から文化会館周辺はものすごい人でごった返していた。
あんなに多くの人が文化会館の駐車場にいるのを見たことがない。
おそらくみんな同じような気持ちだったのかもしれない。
そのときでもカラヤンは速攻で黒塗りの車に乗り込み、会場をあとにしてしまったためにまったく見ることはできなかった。
そして、その後、二度と日本へは来ることなかった。
■僕が学生のときはカラヤンとバーンスタインという2大指揮者が君臨していた時代。
(もっとも周囲がそのようにはやしたてていたのかもしれないが・・)
はじめて買ったクラシックCDはカラヤン指揮ウィーン・フィルのチャイコフスキー第5番。
この頃はクラシックをほとんど知らないときで、ベートーヴェンやモーツァルトにはまったく馴染まなかった。
チャイコフスキーは比較的馴染みやすいメロディーだったし、派手だったからおもしろいと思って聴いていた程度。
まだクラシック音楽についてさほど知識もなかった僕は、音楽雑誌の評論の影響(今ではほとんど読まくなった)もあって、バーンスタインの人間味あふれる表現こそが本当のベートーヴェン、マーラーであると信じるようになっていった。
当時の僕には“アンチカラヤン”めいた考えが芽生えていって、カラヤンの音楽をあまりよくは思っていなかった。
ベートーヴェンの交響曲のから感じた印象は“ヒステリックなフォルテ”であって、今聴いてもこの印象は拭えなかったりする。
しかし、実演ではどう感じたのだろうか・・わからないままだ。
そうは言っても好きなCDはたくさんある。
R・シュトラウスのほとんどの交響詩と歌劇『薔薇の騎士』、ドヴォルザークのチェロ協奏曲(スラヴァ)、晩年のチャイコフスキーの悲愴(VPO)、ドヴォルザークの『新世界』(VPO)、オペラの小品集すばらしい演奏で今でもよく聴いている。
特に『ドン・ファン』はロマンチズムあふれるカッコよすぎる名演!
あとはまだ聴いていないマーラーの第9番のライヴ(BPO)を聴いてみたいな。
■晩年にカラヤンとバーンスタイン2人っきりで話し合ったというエピソードがあった。
どんな話をしたのか?との問いに「お互いいい歳になって身体のあちこち痛いとか、そういう話だよ」とおどけたという。
さらに「ウィーン・フィル演奏旅行を2人で振り分けてやろうか」という夢のような話には「そんな話が持ち上がっていたのか!?」と驚いたし、とても微笑ましくおもった。
バーンスタインも「オレはあいつの音楽は嫌いだけど、指揮する姿を見ていたいんだよなぁ」と、確か佐渡裕さんに語っていた。
この言葉はカラヤンという指揮者をじつによく表現しているとおもった。
カラヤンの音楽の好き嫌いはあれ、なんだかずっと見ていたいような特別に強烈なオーラがある人なのだ。
1987年のウィーン・フィルニューイヤーコンサートでのカラヤンのスピーチ
「わたしたちが望む願いの1つは(世界の)平和・平和・平和・・・」
例の甲高いかすれた声で聴衆にうったえかけていた。
見ていて胸がグッと熱くなった・・
きりがないので、とりあえず、じゃんじゃん^^