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■この映画はすごいですよ!

スウェーデンの模範的な夫婦をめぐる男女の物語であるが、後からじゃんじゃん問題が起きてこの2人はさまざまな人生展開をおくることになる、そして最後は・・
と、こう書くとよくありがちな展開なんだけど、そんじゃそこらのドラマとは違う。
タブーなんかまったく関係ない人間の本質的で直接的な内面感情がそのまま噴出しているかのような危険さ、と好奇心(もっとも、作家には表現できないようなタブーがあってはいけないものだ)。

この作品は当時スウェーデン国営テレビで放映されたものを劇場版に短縮したもので、テレビ放映時にスウェーデンで離婚が急増してしまったという問題作でもある。

しかし、その危うい社会現象が納得できる内容。


ベルイマン監督は男と女の関係、夫婦の関係をこれでもか!!と、とことんとことんとんまで突き詰める。
その演出やセリフがストレートでリアル。
まるでドキュメンタリーでも見ているかのような臨場感なのだ。
しかも先の展開がよめない。
スリリングでおもしろい。

現代社会の一定の枠に生きている我々のような一般人にはショッキングであるが、共感できる面もある。

夫婦でも恋人同士でも、その男女関係の括り(くくり)である前に私達は“人間”であり“生き物”であるということに、フッと立ち戻されるのだ。

まあ、僕にはもともと形式にあまりとらわれない傾向があるので、「やっぱりそうだよなぁ~」という納得感があった。

セリフがいかしている。
ありきたりな凡庸な会話などはあまりない。
かといって小難しく説教じみたセリフではなく、人の生活に根付いていて無駄がない。

ここまで“男女の仲”を追求しつくした作品はめずらしい。
しかもある種の“危険”をはらんでいる。
ベルイマン監督作品が世界中で高い地位を確立しているわけがこれを観ればわかる。


■ベルイマン作品はBS2でこの他にいくつか放送した(いちばん観たかった『第七の封印』を撮りそこなってしまった!)。
まだ全部は見きれていないが、『野いちご』という白黒作品は観た。
これもとてもよかった。
最後の場面のイーサク老人のしんみりと満足して自らの人生を回顧しているような、あのなんともいえない表情は忘れがたい。

ここでは何のセリフもなく、この表情のアップだけで終わる。
終わり方もスパッとしていて気持ちいい。
余計な解説・セリフ・音楽はない。
いらないのだ。


ベルイマン監督は本物中の本物だった。

すぐれた映画監督はスピード感と音楽性にも優れている。
チャップリンやヒッチコックや黒澤さんのあのキレの良さは爽快だ。
黒澤さんの『椿三十郎』での三船さんの息もつかせぬ殺斬シーンと、ラストに「あばよ」といって去るバッ!パッ!といくスピード感は、いつまでも忘れがたい印象を残している。
観終わった爽快感が違う。