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■角田光代さん作品では『対岸の彼女』が最も印象が深く、感銘もうけたものでしたが、この『八日目の蝉』もそれに劣らずたいへんよかった。

この小説は2部構成になっていて、特異な人生をおくることになった女性2人を描いている(角田さんも川上弘美さんも女性心理をとても分かりやすく、ストレートに表現する)。


それにしても、この小説はいろいろなことを考えさせられる。

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・どんな境遇に陥っても人は生きている、生きなくてはならないという事実。

・絶望の淵に身を置いても、最終的に『生きる!』という潜在能力は人にはもともと備わっているのではないか、という希望(ただし、これには偶然的な出会い(人以外でも)が関係しているかもしれない)

・閉鎖された空間でどんなに理想的な教育をしても、外界の現実を知らないことはその人にとって不幸なことにならざるをえない。

さまざまな恋愛関係から繰り出される人生もようの機微。

・いつの時代でも『こういうことをする男』は結局は相手に責任を持たないで、たんに都合のいいセリフで誤魔化したりすのだろうか・・(後先を考えて行動しないのはなぜだろうか。得てしてそういうケースはあるが、それはどういうことだろうか。本能的なことだから許させることか。僕はどうしてもそうではないと思ってしまうのだが・・)。

・ほのかな希望を頼りに生きるしかない現代は、後世の人から見たらいったいどういう時代に映るのだろうか?

・生きていくうえではいろんな人と関わりをもつが、本当に大切な人との出会いというのはじつは少ないものだ。大切な人だというのは感覚で分かるもの。

・マスコミの興味本位ともとれる報道姿勢はいろんな人を傷つけている(昨日の報道ステーションでの交通事故の報じ方も嫌気がさした。交通事故はこんなにも悲惨なことだからドランバーは気を引きしめて運転しなければならないという戒めのためだけの報道ではなかった。興味本位的、野次馬的な軽薄さを感じた)。


希和子の逃亡生活の描き方もじつに巧みだ。

常にいろんなことに神経を張り詰めていて、警戒心をまったく緩めない。

逃げるタイミングも早すぎるくらいに感じるせいか、読んでいてリアル感が高い。

角田さんという作家は情景描写がうまいのも特徴だと思っている。この小説でもいろんな景色がはっきりと目にうかんだ。

などなど・・・
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とになく、いろんな面で楽しめる小説でした。

角田さんの次回作に期待しています。


じゃんじゃん