
本はなんかしらいつも読んでいて、かなり集中しているのだが、その先が読みたくてたまらないという本となるとそうはない。
『対岸の彼女』はその1冊となった。
それにしても、この小説はきびしい。
登場人物のほとんどが女性のみというのは珍しいし、どこでもある日常生活のようだが、心象心理に深く入り込み、実にリアルなのだ。
女性特有の社会であるグループに属さなければならない義務。
些細な発言などでグループから脱落させられると自分の居場所がどこにもなくなり、孤独がずっと続く学校生活。
すべての学校や会社がそうではないし、この小説に描かれていることは極端な事例かもしれない。
しかし、確実に女性社会にはある。
目に見えない強迫観念的な仲間意識が・・
会社の食堂では必ず決まった人とご飯を食べなければならない。
学生ではみんな連れ立ってトイレに行かねばならない。
賑やかに笑っているようで、心では反対のことを考えている。
角田光代さんはそういう特有な女性社会を客観的に見てきてのかもしれない。
この小説に登場する主人公の小夜子と葵はともにアウトロー的な存在。
彼女らの心の叫びは読んでいてストレートに胸の中につたわり、共感できる。
「人は何のために歳を重ねるのだろう?」と考え続ける小夜子の疑問。
この問いと答えがこの小説のメインのテーマとなっているのだが、読者は最後に一筋の希望の光を見たような安堵感をようやく得られる。
この小説は直木賞を受賞したらしいのだが、「なるほど、これならそうだろうな」と納得の力作。
この本に触発されて同じ作者の『菊葉荘の幽霊たち』という小説も読み出した。
こちらはうって変わって軽いタッチの作風。
しかし、根底に流れる主人公の心情は似ており、またまた角田ワールドに引きずりこまれている^^
実は昨日から風邪で珍しく発熱もしており体調は優れないのだが、本を手放せないので困っている。
いろんな作家の小説を読むのは楽しい。読書好きに拍車がかかっているのを実感している。