
この作品は僕が映画を知った頃から”名作”と言われていたが、なかなか観る機会がなかったもの。
それにしても、これは大変な力作だ!
イタリアが国の威信をかけて撮りあげたような意気込みを感じた。
また、よくぞここまでイタリア国鉄も協力したものだ。日本では絶対に考えられない体制だ。
さて、この物語はサンドロ少年の目をとおしてイタリア庶民の力強い生活ぶりを描いている。
面白いと思ったのは、少年の目をとおりているので、大人のさまざまな問題の原因や解決が描かれていないこと。
例えば、お父さんが、なぜストライキに参加しないで列車の運転をし続けたのか?(その結果、仲間から完全に信頼をなくす)や、お姉さんは昔の恋人とはどんな話し合いがされたのか?など、大人の悩みの原因や解決は描いていない。
ただ、そこに家族がある。いろんな問題を抱えた大人は難問にぶつかって苦しみ、家族はいったんは崩壊するが、最後にはやはり、家族がある。
監督はそこが描きたかったのだろうか。
だから、余計なことは描かない。観る側は、なぜ、お父さんはいつまでも家に帰らないのか?や、長男・長女の苦しみはどんなところから起こったのか?などは気になりそうなものだが、不満とも思わない。
それにしてもサンドロ少年は見事だ!
言葉ではとうてい表現しえないほどの名演技。いや、演技を超えているというか、自然なのだ。
こんな人はいない。
それに当時のイタリア人達の生き生きとしたこと!!
みんな腹の底からしっかり声を出して貧しいながらも元気一杯!
人のつながりもしっかり根付いていて、なんとも羨ましい社会だと思った。
酒場では男が集まって、ギターを中心に歌を歌って陽気にすごす。
家でもなんだかんだ喧嘩はしても夫婦の絆は強く、暖かい。どこまでも暖かい・・
ラストシーンのサンドロ少年の姿はいつまでも忘れないだろう。
これからも楽でない生活が待っているだろうが、元気に走り去ってく。
あの無邪気さに勇気付けられる。
できればこの作品は映画館で観たかった。
全身で『鉄道員』の世界に浸りたいと思った。