
藤沢周平原作の時代物の山田監督作品はこれが3本目。
一応今回で3部作の最後ということだ。
前回の2作も劇場で観ており、それぞれ素晴らしい体験をさせてもらっていた。
この『武士の一分』は中でも最も感動的に仕上がっている。
今回観て、山田組の非常に丁寧な作品の作り方がとても印象的だった。
1カット1カットをじっくりと表現して撮っていく。
スタッフと出演者のそうした共通の姿勢が感じられる。
とても上品な映画だ。
【映画は必要最小限のセリフでいい。言葉以外で表現することが何より大事なこと。】
と僕は思っている。
『ベニスに死す』を観てつくづくそう思った。
たとえ難解な表現になっても多少はかまわない(監督の意図は当然はっきりしているが)。
「あれは何だったんだろう・・」と観客が考えることも楽しいことだ。
『武士の一分』でも余計なセリフはない。全体的に静かな印象を受ける。
もっともこの時代(江戸時代)は静かな時代であった。
はるか遠くの火山の噴火音がとんでもない場所まで聞こえたというエピソードがある。
日本人は静かな生活をおくっていたんだ。
それに生活そのものが清楚。
ご飯を食べるシーンでも、背筋を伸ばしてキチンと正座をして座って食べる。
食べ終わるころ、茶碗にお湯を入れて飲むのだが、食器を洗うことも同時に行う。
そして布でさっと拭いて、食器入れに片付ける。
水を使わない究極のエコだ。
いちばんの見所は終盤の決闘シーンではなく、人間関係、なかでも夫婦の関係だ。
木村拓也さんと檀れいさんの夫婦は本当に素敵であった。
自分の魂をしっかり持っていてお互いを真剣に想いあっている。
その真剣な想いにつよく心うたれた。
これは本当に素晴らしい映画です。
おすすめ!