
この日は輸入盤CD3セットで各20%OFFというセールをやっていて結構割安で購入できたのだ。
今回、ベルリン・フィル自主制作CDとしてフィルハーモニーで放送用として録音されていたライヴ数点がCD化された。
中でも、一番気になっていたのがサイモン・ラトルが30歳前半のときにベルリン・フィルデヴューしたときの演奏。グスタフ・マーラーの交響曲第6番だ(1987年)。
これを目当てにHMVに行ったのだ。
しかし、まず驚いたのがニコラウス・アーノンクールが指揮したJ・Sバッハの『マタイ受難曲』(CD3枚組)の新録音の値段の安さ!
これは以前から狙っていたCDで、いくぶん値が下がっていたら買ってしまおうと思っていた。
それが今回はスペシャルプライスのうえに20%OFFということで税抜きでは2,000円を切る激安さ!!
ためらいなく購入。
これと、先のラトルのマーラーと、ムラヴィンスキーのシュスタコ8番(以前フィリップスから出ていたものにピッチを修正したもの)の3セットを購入。
■さて、演奏。
もっとも感銘を受けたのがアーノンクールの『マタイ』。
これはいままで聴いた演奏(リヒター、ガーディナー、小澤)よりも素晴らしいものだった。
それは、どこを聴いても興味が尽きないし、説得力に満ちている。はっきり言ってしまえば飽きないのだ。いかに好きな『マタイ』といえども3時間半の大作では、どこかで気の緩んでしまう箇所はある。
アーノンクール盤にはこれがほとんどない。いままでとっつきにくかった曲が新鮮な輝きをもって現れるのだ。第一部の終曲などは、どうも平坦で長くて自分が入っていけなかった。アーノンクールは様々な表現でメリハリをうまくつけることに成功している。決して奇をてらっているわけではない。どれも深い音楽になっているからだ。
最近、最も好きな曲27曲目のイエスが連れて行かれるシーン。ここでの深刻さも凄い。弦の厳しくも静かな歩み。後半の嵐が来るシーンの適切なテンポと合唱のど迫力。何度も聴きなおしてしまった。素晴らしいCDと出会えて幸運だ。
■次にサイモン・ラトルのマーラー第6番。
これも素晴らしいCDだ。
若きラトルの妥協しない指示に見事に応えるベルリン・フィルの力量には感心しっきり。
録音もまずまず鮮明で充分。
ラトルは低弦に独自の意思を表している。
随所に意外な強調が顔をだしてきて、いままで意識しなかったマーラーの一面を紹介している。
特に後半の2楽章(3楽章はスケルツォになっている。2楽章と3楽章を変えて演奏している)の圧倒的な迫力は凄く、久しぶりにエキサイティングな大交響曲の体験ができた。
これを聴いていて「絶対に“人間”を表現した曲をマーラーは書いたんだな・・」と思った。
これほどの天地怒涛というか、天国から地獄へ!地獄から一気に天国へ!のように様々な展開が激しく入れ替わる曲は珍しい。
これは、人間そのもの。
もがき苦しみ、喜びに乱舞し、悲しみに打ちひしがれるのは、人間の気持ち、心情だ。
ラトルの演奏からはこれがはっきり感じとれる。
30歳そこそこの若者がここまで表現しうるなんて・・・
ラトルは本当に天才だ。