
まず、小澤さんの復活ぶりは完璧(!)で音楽が若々しい輝きを持っているのに驚いた。
以前よりもエネルギッシュになったような気もする。
正直、第1楽章は小澤さんの元気な姿に対しての安堵感と、そこから作りだされる音楽のあまりの壮絶さに殆んど何も考えることができなかった。
■今回のオーケストラは若手育成を目的として、全国から集まった優秀な学生を中心とした奏者で構成されている。そこにサイトウ・キネン・オケなどの先生達が指導にあたっているのだ。
フルート奏者の工藤さんが若い奏者のソロに「そうそう!それで良いよ!」みたいにうなずきながらサポートしているのが印象的だった。
このオーケストラは先生と生徒の理想的な関係だ。
小澤さんも温かい眼差しで若い奏者を見守っている。
■しかし曲はマーラー交響曲第2番『復活』。とんでもない激しい箇所があったり、おどけたような楽章(3楽章)や可憐な花のような楽章(2楽章)があったり、復活の栄光を掴みとる壮大な音楽もあったりと、多様な要素がごちゃまぜになっている。
小澤さんの本気で音楽に取り組む厳しい視線と指示が次々と飛び出す!
彼の凄いところはこの“取組みの真剣さ”だと思う。
恐ろしいくらいの集中力でオケを呑みこんでしまう。
僕はオーケストラの後ろっ側のPブロックにいて、小澤さんの表情がよく見える。
ここはまるで奏者の1人のような錯覚を持ってしまう席であり、はじめは身動きできないくらい小澤さん放つオーラに“つかまれ”た。
これまでの練習と本番で相当高い水準まで引き出されたオケに対して、昨日の公演でもさらに高い音楽を引き出そうと、渾身の指揮で一瞬たりとも気を緩めない。
『復活』は今年の4月にハーディングの指揮で聴いた。
ハーディングの緻密に考えられたマーラーに対し、小澤さんのは駆け引きなしでマーラーの懐に飛び込むような直球勝負。どんどん音楽の真髄に入りこんでいく!
圧倒的な名演だ。
終楽章のクライマックスでは感動のあまり涙があふれてきて、小澤さんの姿がゆれた。
■今年で71歳になる小澤征爾さん。
今まで何年間もの間 日本と世界のクラシック音楽界を引っ張ってきた。
まだまだこれからも引っ張っていける力が充分にある。
教育のこと、日本のことを真剣に考えて取り組んでいる姿勢はいつもながら頭が下がる想いだし、感動する。
彼は純粋な人だ。
■昨日はあまりに感動したので、小澤さんにひと目会いたくて楽屋出口で待った。
一緒に行ったカミさんにも、一度は小澤さんに直に会う経験もさせたいと思っていた。
この日はやはり小澤ファミリーが集合していて、息子で俳優の征悦君や、娘で作家の征良さんもいた(2人とも大きく立派になった・・征良さんのエッセイを読むと小澤ファミリーは本当に温かいファミリーであることが分かるのだ)
今まで小澤さんから何度かサインを頂いたことはあるが、昨日はさも嬉しそうな笑顔で満足した様子だった。いつもよりゆっくりとサインしてくれ、握手までしてくれた(!)。これは初めてだったので本当に嬉しかった。大きくて分厚い温かい手だった。カミさんも興奮していた。
■僕が大学1年の時に小澤征爾さんの実演を聴き始めて20年。
会場も同じサントリーホール。オケはベルリン・フィル。
まだまだ元気にがんばっている姿に本当に胸が熱くなった。
これからも休暇をとりながら無理せずに音楽を楽しんでいってもらいたいと心底思った。
小澤さんはホントに凄い男だ。
「凄く大きな勇気とエネルギーを貰いました。ありがとうございました!」と言葉をかけた。
ニッコリと笑いかけてくれた。
今は昨日の余韻でまだまだボーッとしてますわ(笑)