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大変な力作でした。観ていて終始注意力が途切れない。この時代の山田さんの人間の描き方は、黒澤さんのとはかなり違う。
この映画のこの時代の人間は、今のようにがぎすぎすしていない。それはセリフが方言によるものだけでなく、セリフ自体がどこかゆとりをもったものだからだ。それは、今のようなどこか冷めたい人間関係ではなく、地道であり良い時代だったんだと主張している。
それにものすごいリアル感。
食事のシーンや決闘のシーンでも。不要な音楽はなく、カッコーの泣く声や生活の音がしている。リアルすぎて実際にその場にいるような苦しさを感じる。
それに画面が暗い。電気もない時代だから暗いのが当然だ。
これを観たに後TVの時代劇を観ると、その明るさに不自然さをおぼえた。
自動車工場のような合理性を追求した今のハリウッド映画とは違い、手作り・職人の作り方だなと感じた。丁寧で、力強い。
しかし、音楽の冨田勲は少し不満だ。なんだか、この世とは違うセレモニーホールでよく聴こえる音楽のようだった。
最後に精兵衛は幸せになるが、3年で死んでしまうという。しかし、子供のイトはそれを悲しむことなく、むしろ父は幸せな生涯だったとしている。それが実に清々しい。
精兵衛が宮沢リエ(役名は何だっけ?)に告白するシーン。
「昔から好きで、結婚できればいいと思っていた」というが、宮沢には既に他の人の縁談を受ける返事をしてしまったこと。だから、もうあなたとは会えない。ということを告げる。
このときの落胆振り。しかも、かっこわるいセリフのように馬鹿なセリフを言ってしまったと後悔する。
しかし、馬鹿なセリフでいいのだ。カッコつけて思っていることを言わないより、不器用でも真実の方がいいのだ。