極楽の縁に辿り着いた善吉たちを、お釈迦様は静かに迎え入れました。

しかし、善吉が喉を潤そうと池の水を掬うと、

それは黄金の輝きではなく赤黒い血へと変わります。

​「ここは、本当に極楽なのか……?」

 

驚愕する彼に、お釈迦様は冷徹に告げました。

「お前たちが登ったのは救済の糸ではない。

より深い絶望を糧とするための『選別の糸』だ」。

​極楽の景色が剥がれ落ち、

目の前には更なる深淵**「第二の地獄」**が広がります。

善吉たちの本当の試練はここから始まるのです。

お釈迦様の瞳には、慈悲ではなく冷たい観察者の光が宿っていました。

それは糸操りと言いました。

​糸繰りの言葉は、

善吉の足元から崩れ落ちていく極楽の幻と同時に、

抗いようのない現実となって善吉に迫った。

 

「慈悲の代償とは、一体何を求められるのか……」

​糸繰りは、狐の面の下で冷ややかに微笑んだ。

その細い指先から伸びた漆黒の糸は、

まるで善吉の過去を映し出す鏡のように、おぼろげなビジョンを見せた。

 

​それは、かつて善吉が助けた子供の未来、

彼が奪ったささやかな幸せ、そして彼自身が忘れ去っていた罪の記憶だった。

 

​「お前が救いを得るためには、この世の全ての希望を捨てる必要がある」

​糸繰りの言葉は、善吉の胸に重く響いた。

これは、単なる地獄からの脱出劇ではない。

自らの存在意義を問う、果てしない魂の旅の始まりなのだ。

​善吉は、差し伸べられた漆黒の糸を、固唾を飲んで見つめた。

​この先、善吉は「慈悲の代償」として、

一体何を求められ、どのような選択を迫られるのでしょうか。