モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番
ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」

管弦楽:バンベルク交響楽団
ピアノ:ピョートル・アンデルチェフスキ
指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
(2012.11.6、東京・サントリーホール)
…………………………………………………
大いに今日を楽しみにしていました。
無理、無駄、ムラのない指揮者ブロムシュテットに最も合う作曲家はブルックナーだと思うからです。
また、先週のオケのコンディションからも超名演が期待できそうだからです。

今年ナンバーワンの演奏会になることを期待して♪

しかし、オーケストラは生モノだなあ、と痛感した演奏会となりました。


前半のモーツァルトのコンチェルトは、周囲に恵まれず聴く気喪失。

演奏後、一足先に休憩。

マエストロは珍しく指揮棒無しのスタイルでした。


そして、大一番のブルックナー。

ベートーヴェン・プログラムとはメンバーがガラリと変わりました。

コンマス、コンマスサイドをはじめ、フルートとオーボエは女性コンビから男性コンビに。

ホルンは、超音楽的なソロを披露いてくれていた首席さんは見当たらず。

また、トランペットトップも入れ替えがあり、

コンバスとトロンボーンには明らかにエキストラと思われる日本人奏者が混在。

弦16型、木管は2管編成、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3という編成。

このことが悪く作用したのか、ベートーヴェンでは柔らかな弦がいい感じだったのですが、

今回は音が乾燥気味で色気も感じません。

フルートはこちらの方が上手いでしょうか?

けれど、前回は完璧なサウンドを発揮していた金管特にトランペットが音を外していたり・・・。

それだけではありません。

冒頭トレモロに乗って奏でるホルン・ソロ。

強く吹きすぎ!

それだけ吹けば音を外すリスクは減るかもしれませんが、

この場面、私のイメージとは全く違いました。

また、弦のトレモロも舞台の空気は泡立つような、ふんわりとした音を期待したのですが。。。


また、強奏箇所でも、レンジの幅はありませんし、音の引き出しもワンパターン。

第3楽章のスケルツォで特に感じました。


そして、そんな風に思っって思い浮かんだのは、

自分にとって同作品のベストは昨年のウィーン・フィル=エッシェンバッハなのです。

音の引き出し、レンジ、表現力、感性、美しさ・・・どれをとっても・・・。


そうして思った事はベートーヴェンでは感じなかった、むしろドイツのオケの底力というより、

件のウィーン・フィルの表現力の豊かさ、ベルリン・フィルの上手さとは全く次元が異なる、

誤解を恐れず言えば、単なる田舎の市民オケ、と思ってからは完全に興ざめ。

指揮者がブロムシュテットと言うこともあり、「なんなら昨年聴いた台風の日のN響ブルックナーの方がいいんじゃないか?」と。

こうなると集中できません。


ブルックナーの本来美しいはずの音楽が単に長く、そして単調にしか聴こえないからです。


2階席(←多分)から聴こえた9時のアラーム、2階CブロックRC付近2列目(←目視確認済み)の終演後のかなり早めの拍手にも辟易しながら、

前半同様ガッカリして足早にホールを後にしました。


ベートーヴェン・プログラムの日に聴いた清々しい爽快感を感じる事もなく、

生演奏に立ち会うことのむずかしさを痛感させられた、私にとってガッカリ演奏会でした。


しかし、ブロムシュテットのブルックナーを聴けて幸せでした。

皆さんの大絶賛の演奏会、自分で聴いて、自分なりの感想が持てましたからね。


という訳で、

ブロムシュテットなら、昨年のブルックナー7番の方が圧倒的。

バンベルクならベートーヴェン・プログラムの方が良かった。

ブルックナー4番なら、昨年のウィーン・フィルを上回る演奏に接する事は難しいだろう、

という自分の現時点の感想です。

他の方々と大いに感想は異なるでしょうが・・・。


期待が大きすぎたか、それともイベントのことで・・・(笑)


Bobのクラシックのある風景


ウィーン国立歌劇場「アンナ・ボレーナ」


管弦楽:ウィーン国立歌劇場管弦楽団


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グルべローヴァさん、日本での最終公演。

そして、22日間にも及ぶウィーン国立歌劇場2012日本公演の千秋楽。


この公演、の終演後の楽屋口に行って来ました(ニヤリ)


お目当ては、日本ラスト公演を終えたばかりのグルベローヴァさん、

指揮者のピドさん。


ではありません(クスクス)


フィルハーモニカーの皆さんからサインを頂きたくためです(ははっ)


皆さん、終演後のお疲れの中、こちらの無理やりなお願いに快く応じて下さり感謝。

中でも、フルーリーさん、リッシーさんの感じが良かったなあ~。


フィルハーモニカーの皆さんの大変紳士的な笑顔を見ると、

私もそうありたいな、と思います。

大変幸せなひと時でした。


HAPPY BIRTHDAYラブラブ












ベートーヴェン:
交響曲第3番「英雄」変ホ長調&第7番イ長調

管弦楽:バンベルク交響楽団
指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
(2012.11.1、東京・サントリーホール)
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スイトナー、サヴァリッシュ、シュタインとならび古きよき時代から現在に至るまで数々の名演奏を繰り広げたN響名誉指揮者ブロムシュテット。
日本で多くの尊敬を集めるマエストロの一人ではないでしょうか。
そんなブロムシュテットの85歳バースデー記念の来日公演はドイツのバンベルク交響楽団との共演。
高齢とはいえまだまだ元気溌剌です。

なのですが、今日はホール、空席だらけ。NHKホールで行われるN響定期でさえ席を埋め尽くされるのに…。プログラムよりもオーケストラの知名度なのでしょうか?!

てことで、席種の区分ないオール自由席でした(ニヤリ)

そんなことから、ホールの残響がいつもより豊かで、天井を仰ぐと、まさに音が降り注ぐようで美しく感じました。

ブロムシュテットの指揮は、高齢指揮者にありがちな間延びしたテンポではなく、若さある躍動感やリズムの中に果肉がぎっしり詰まったサウンドと、奇をてらわない正統派な解釈、プレイヤーの集中力を高めながら最大限にその能力を引き出し、その厳しいリハーサルによってミスや破綻のない演奏を約束してくれるマエストロだと思います。当夜のベートーヴェンもまさにその通りでした。

バンベルク交響楽団も上手い。エロイカの3楽章トリオのホルンは絶品でしたし、弦楽器の柔らかいサウンドも素晴らしかった。

しかし、後半のベト7ではエロイカと同じ14型のやや厚めの弦楽器に対して、管楽器はアシなしの完全二管編成。そのため、コントラバスがゴリゴリ響かなかったり、ホルンの咆哮が目立たずこの部分は残念でしたが、これは好みの問題。フィナーレ後半の第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリンとの掛け合いのリズム感も良かったし、なにより両翼配置が効果的でした。

そして、ホルンが2名増員されてアンコールにはエグモント序曲。これが素晴らしかった。序奏のタメも良かったし、ベルアップさせたトランペットが格好いい!
お客さんも大喜び!
お疲れの中、ブロムシュテットへの熱烈な拍手に対してソロカーテンコールにも、にこやかに応えてくれました。

それにしても、バンベルク交響楽団、上手かった!この日の演奏からは、低音がピラミッドになるような、いわゆるジャーマンサウンドというイメージとは違い、やや軽めの印象を受けましたが、ドイツのオーケストラの層の厚さを痛感しました!!
その真価は来週のブルックナーでこそハッキリするでしょう。

私にとって、ベートーヴェンの交響曲は演奏スタイルが多様化しすぎて、いわば当夜の様な正統派スタイルでは刺激が少なくもの足りず、大感動を得るのが難しくなっているものの、あの躍動感の恩恵でしょうか?!スポーツをして汗を流したような、そんな爽やかで清々しく、また、心暖まる素晴らしい時間でした。

ブロムシュテット、ありがとう!

来週は、素晴らしい、心に刻まれるプレゼントになればいいなあ♪


ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」より“前奏曲”と“愛の死”
ブルックナー:交響曲第7番

管弦楽:シュターツカペレ・ドレスデン
指揮:クリスティアン・ティーレマン

(2012.10.26、東京・サントリーホール)
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NHKホールに続き、サントリー公演にも出掛けました。
2年前の音友記事に予告があったときから楽しみにしていた、この秋の本命公演の一つ。

まずもって思ったのは、このホールの視界の良さ。
NHKホールの廉価席では豆粒状にしか見えなかったオケ団員の皆さんが、ハッキリ視認できました。
ティーレマンも、やはり少しお腹回りがスッキリしましたかね(笑)
身長は今さら高くなりませんから、世の流れに反して、せめてお腹回りくらいは真似しようと思って増量していたのは私だけ…(笑)

まずは、「トリスタン~」。

恐ろしいまでの緊張感漂う弱音、そして、充分すぎるほどのタメから生まれる静寂。 どれくらいの緊張かというと、唾を飲み込むことすらできません。どれくらいの静寂と弱音かというと、周りのお腹が鳴る音が普段の何倍もの音に聞こえます。それくらい、緊張と静寂でした。この辺りで既にティーレマンを受け入れるかどうかの好みが分岐するところだとおもいますが、私は大いに是です。夕方、出掛ける直前に事前に軽くお蕎麦を食べておいたので空腹音の心配もなく安心でした(笑)
ギリギリの淵の微かな弱音が全て揃う弦楽器もスゴい。ドレスデンの弦の上手さが光ります。
また、聴衆の皆さんの集中力も素晴らしかったです。これだけ惹き付けるのは、カリスマならでは

ウィーン国立歌劇場全曲ライブ盤、フィラデルフィア管弦楽団盤(いずれもDG)によるものとそれほど解釈には変わりがなく、しかし、録音で感じたような退屈さは全くない、やはりティーレマンはライブの人だなあ、と思いました。あの冒頭の尋常ならざる静寂とピアニッシモなんかは録音では伝わりにくいから。

大きな大きな音の渦の中にいた

と言えば大袈裟かもしれませんが、
「すごいね~」としか言い様のない、感嘆ばかりの前半が終わり、後半のブルックナー。

随所にティーレマンらしいテンポの揺れ、ピアニシモやクレッシェンドのデフォルメ、ブラームス1番でもみられた最終楽章の全休止の扱い、といった強烈な個性があったものの、全体としては極めてブルックナーらしいブルックナー。

ブルックナーでは、インバルのようにさらさら流されては堪りません。ゆっくりとした流れに身を任せ、強音箇所ではエネルギーを一気に放出、弱音時の歌わせ方、テンポも私の期待通り。幅広いレンジも外来名門オケならでは。強奏時でも決して音が濁らず突き抜けてくるパワー感、そして、弱音時のニュアンス豊かなトルク感とデリカシーに富んだ金管楽器、しなやかでシルキー、且つ、後方プルトまでビシッと揃った弦は対抗配置により一層楽しめました。特にセカンドヴァイオリンとヴィオラのtop奏者の安定感、音圧は凄いの一言。

中でも、フィナーレ楽章におけるワーグナーチューバの神々しい響きが印象に残りました。

シュターツカペレ・ドレスデン、そのサウンドはウィーン・フィルと同じような歌心と魅力的な独特のサウンドをもつ個性があることを認識できました。素晴らしい!
最後の音が鳴り響き、一部では拍手がはじまりましたが、大多数の聴衆の皆さんはそれにつられることなくティーレマンが脱力するまで静寂が保たれ、その後に大ブラボーの喝采。
(一人だけしつこく静寂潰しのために拍手をされていましたが、確信犯として咎めないでおきます。ブーイングは個別で後でしてね。)
終演後はティーレマン得意のポーズ、指揮台の落下防止手すりに前のめりになっての「どや顔」パフォーマンス(笑)けれども、私は見えませんでした。なぜなら、パイプオルガンの下が座席でしたから(笑)
そう!P席は視認性が高いのは当然ですね♪
ソロカーテンコール2回も今日の演奏なら当然です。
惜しむらくは、お隣さんがなあ~♪

素晴らしい金管楽器によってたっぷりの生音浴。
そして、未来の巨匠の指揮を間近で接することができた生ティーレマン。
音のバランスや欲張りを言ったらきりがありませんが、今日はP席を存分に楽しむことができました。兎に角、楽しかった。

終演後は「凄かったね!楽しかった。ティーレマンはスゴいよね。もうこれ以上なにも言えないよ。音楽は素晴らしいし、演奏会は楽しい!」を立ち飲みしながら、何度もグルグル(笑)いつのまにか、お腹も一杯に(笑)また、ティーレマンに近づいたかなあ?あははっ(大笑)

なにも言えないとか言いながら、ここではかなりいっていますが…(笑)

ティーレマンの次回来日はWPhとのベートーヴェン・チクルス。
いまから楽しみ。全て行きたいけど、ブッフビンダーのコンチェルトまではきついから(笑)

帰り道、サントリーホールのお隣、ANAインターコンチのエスカレーター付近にある植樹には、早くもクリスマスに向けたイルミネーションでしょうか?それとも、いままで気付かなかっただけで常設?(笑)



物凄い集中力を必要とされた演奏会でもありました。しかし疲れたけど楽しかったです♪

その作品を最大限のパフォーマンスと少しのスパイスで私達聴衆を楽しませる演奏と、
その作品に介在するエッセンスを最大限の考察と閃きとでデフォルメして聴衆を魅了する演奏とにわけるとすれば。

ティーレマン指揮によりシュターツカペレ・ドレスデンの演奏会はその後者の最右翼に位置するでしょう。






指揮者が没個性化したと言われる現代において、クナッパーツブッシュやフルトヴェングラーに代表される個性派揃いの大巨匠時代にタイムスリップしたような、とは言い過ぎ?(笑)

NHK-FMラジオによる中継を録音していたので、
帰宅後、そして、昨晩、今晩…、
何度も繰り返し聴いてみました。


中でも気に入った最終楽章。

私が聴いた印象では、
07年ミュンヘン・フィルとの来日公演より今回のドレスデンの方が、ティーレマンの意図を明確に理解し、咀嚼して音にしているように思いました。
例えば、有名な主題。その主題に入る部分で他の指揮者では聴いたこともない長大なゲネラルパウゼをとる解釈は同じです。07年の来日公演でも、05年のDGによる録音でも、そして今回でも。
07年では、オケが我慢できず、バラバラで完全崩壊。上手く決まればどうなるかも想像できませんでしたし、CDでも中途半端な感じがしました。対照的に、今回は完璧。今までに体験したことも想像したこともない美しさでした。
やもするとたんたんと進む味気なく扱われることもあるこの主題を、弦合奏を溢れんばかりの情感と美質を讃えながら音が重なるにつれて音量を上げ、そして加速させていく。
尤も、“あの”間については録音では伝わりにくいだろうし、空気感が伝わるのはライブならではだろうけれど。

そして、その音のハーモニーの良さ、楽器の分離の良さから、音量・テンポに至る細部まで徹底的に指示し練り上げていることがわかります。
よってプレイヤーは相当な神経と緊張を持続しなければいけません。
となれば、当然難しいパッセージや技術的な苦労もあるわけで、人間ですからミスもします。プレイヤー自身にも考えがあるはずですが、恐らく「こうすれば、今までに体験したことのない美しさをしることができます」といったやり取りに皆が共感したからこそなのでしょうね。ミュンヘンとはゴタゴタの末、退任しましたがそこにはそもそもの軋轢のようなものもあったようにも今から思うとあったのも確かです。

件の箇所では指揮をせず馬なりでオケの自主性に任せて主題を奏でることも珍しくないのに…

しかし、名門オケの煩さ方にまで完璧に自分の意思を伝えてそれを音にしてもらう、いや、させるというその能力にティーレマンのカリスマ性をみた気がします。
そこには、技術的な高い職人集団とティーレマン自身の円熟による幸せな出会いがあった事を差し引いても!
現代のカリスマ指揮者との名コンビの予感です。

こちらはたった数名の部下に四苦八苦しているのにね(苦笑)





NHK音楽祭2012
世界のマエストロ
ー輝ける音楽界の至宝ー

シュターツカペレ・ドレスデン演奏会

ブラームス:交響曲第3番&1番
(アンコール/ワーグナー:歌劇「リエンツィ」序曲)

管弦楽:シュターツカペレ・ドレスデン(ドレスデン国立管弦楽団)
指揮:クリスティアン・ティーレマン
(2012.10.22、東京・NHKホール)
………………………………………………
先週の都響は、言わばこの日のための予習と言えば言い過ぎか?
それくらいに大いに期待していたこの演奏会。

今をときめくティーレマンが首席指揮者に就任して直後の来日公演という注目度に加え、ブラームスの交響曲2曲、さらにサントリー公演ではB席相当の金額でSS席が買えるとあってその割安感からかチケットは早々に完売。
3,000席を超すNHKホールに見渡す限り空席もありません。




シュターツカペレ・ドレスデンは、歌劇場のオーケストラ。その意味合いにおいてはウィーン・フィルと性格はよく似ており、ティーレマンはあくまでもオーケストラの首席指揮者であって歌劇場の音楽監督ではない、という点もウィーン国立歌劇場(現音楽監督:メスト、前音楽監督:小澤征爾)とウィーン・フィル(常任や首席指揮者置かず)の関係に類似しているように思います。

オーボエ首席にはソロでも活躍するセリーヌ・モワネ(モネ?)を擁するなど男性ばかりではありませが管楽器は殆どが男性でした。

前半のブラ3。
冒頭で、直ぐにくるクレッシェンドでのやややりすぎとも思えるデフォルメはティーレマンそのもの。
解りやすいテンポの揺れ、いえ、揺れを通り越して弱音部での執拗なまでの減速加減、盛り上がりでの加速の対比。音の強弱。
聴いていて一見面白くもあり、あざとくもあるのでこのあたりが好みの分岐点かも。
また、オケも弦と管が揃わずバラバラに音が出ていたり、明らかにズレている部分があったり…。
練れていないのか、まだまた完成形ではないのかなあ、と私は不完全燃焼でした。

後半のブラ1。
前述のモワネだけでなく、フルート、ホルンなど一部のソロパートに入れ換えがありました。
ティーレマン指揮によるこの作品は、ミュンヘン・フィルとのCDが出ています。ローマ聖チェチーリア管弦楽団、ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団、ウィーン・フィル、ミュンヘン・フィル、そして今回。ティーレマンが共に来日を果たしたオーケストラとの来日公演プログラムで必ずこの作品を取り上げています。私も07年にミュンヘン・フィルとのライブを聴きましたが、オケが戸惑い気味で消化不良を起こしていた感が否めません。だから、もうティーレマンのブラ1は聴きに行かなくていいかなあ、と思っていたのですが…

しかし、今回で評価は一転。聴きに行って良かった!
ブラ3とは異なり相当部分で練れて熟れた完成度の高い演奏だったと思います。わずか5年の歳月でここまで変わるのかと。ティーレマンの主張を受け入れて音にしているオーケストラ、そして、力づくでやりこまなくなった感じもするティーレマン自身。両者の関係が上手くいっているようですね。

第一楽章ではいままでは採用していた繰り返しも今回はなくスッキリした流れ。第二楽章のオーボエ、コンマスのソロは都響には申し訳ないのですが、味が全く違います(しかし、第一楽章冒頭のティンパニの打ち込み方、コントラバスに効かせ方はインバル都響に軍配)。なにより歌が上手い。センスの違いなのかなあ?
しかし、強烈な印象をもったのはアタッカで入らず充分に間をおいてはじめた第四楽章。
山々に架かる朝霧から太陽がのぼるような幻想的な風景が思い浮かぶアルペンホルンの美しさ、そして、固唾を飲まざるを得ないくらいに溜めを作った、長大すぎるゲネラルパウゼにより緊張感最大にまで高めて歌い上げた歓喜の歌。かくも美しく品位の高い場面を聴いたことがありません。
そして煮詰めて自信と確信をもって追い込む圧倒的なコーダ。

ミスも目立ちましたが、これだけ弄り倒した指揮者に寄り添うその献身的な姿勢、消化不良だったミュンヘン・フィルと比べてその音楽的理解力の高さ、表現力というのかもしれませんがメロディの歌い方や情感の込め方のセンスの良さなどに、シュターツカペレ・ドレスデンの名門たる由縁とその矜持を感じさせてくれました。

手に汗握り、微動だにできず、鳥肌が立ち、そして涙を思わず浮かべたブラ1でした。会場も沸いていました。

その拍手に応えて、アンコールはティーレマンお得意の「リエンツィ」序曲。
見通しもよく、メリハリに無駄もなくビシッと決まった圧倒的な名演でした。
素晴らしい!特に金管楽器が冴え渡っていました。ホルン以外の金管奏者にとっては大きな見せ場がないフラストレーションのたまるブラームスの後だけに、一気に開放されたような伸び伸びとしたパフォーマンスを披露してくれたようにおもいます。

2010年以来に見たティーレマン。お腹回りがややスマートに見えたのは気のせいでしょうか?
さらに、しゃくりあげの独特の指揮スタイルは健在ながらも、以前と比べて棒の意図が解りやすくなったような気がしたのは私が見慣れたせいでしょうか?
相性の良いウィーン・フィル同様、表現力の素晴らしい、また、音に柔らかみがあるオーケストラを手にし、格段にスケールアッブして、キャリアを着実に積みあげてきたティーレマンの音楽の出来上がりの形や頂がようやく垣間見えた気がします。良いコンビが誕生した事を喜びたいと思います。


終演後、一旦は収まったように見えた拍手が再び起こりティーレマンのソロ・カーテンコール。
一階席の方々は舞台近くに集まり、一部の方は握手を!
う~ん、羨ましいー(笑)
と同時にいつしかミーハーになっていることを自認した瞬間でした(笑)

これだけの重量のある演奏を聴いてやや疲れましたが、素晴らしいコンサートでした。








インバル都響の定期演奏会に東京文化会館へ行って来ました。

マーラー、ブルックナー、ショスタコーヴィチといった大曲振りのイメージのあるインバル。しかし、ベートーヴェンにシューマン、ブラームスも得意としているだけにチケット購入以来、楽しみにしていました。





まずは、ブラ3。
この作品のライヴを国内オケで聴くのははじめて。
それだからか、個人的には消化不良な演奏でした。オケに馬力もないし、なによりインバルがサクサク進めていきすぎな印象。お陰でテンポがやや上滑りしていて深みが感じられません。あまりにもあっさりしすぎて聴いた気がしない。一言でいうと、音楽の密度が薄い。
しかし、これといったソロパートによる長いフレーズがあるわけでもなく、華麗すぎても地味すぎても失敗してしまうこの作品は演奏者泣かせでもあるかも知れません。苦労の割りにあまり報われない、ブラームスのシンフォニーのなかでは最も難しい…。
因みに、第一楽章数分のところでインバルが指揮棒を譜面台に当ててしまい、手から落とすハプニング。しかし、予備の指揮棒でなにもなかったように、改めてサクサク曲を進めて行きました。ここで動揺しないのは流石プロ!(笑)

休憩を挟んで本日のメイン、ブラ1。
冒頭のティンパニの打ち込み、コントラバスの響きはその後の巨匠的な展開をも期待したのですが、結局、ブラ3と同じ傾向のまま。主題の部分の繰り返しの無さもやむ無し。
しかし、第二楽章は、ゆったりとしたテンポで美しく、この日トップの息の長いソロを聴かせてくれたオーボエさん、そして、コンマスの矢部さんのやや線が細いながらも繊細な響きには感心しました。
でも、歌の上手さなどは感じられなかった。ここが海外オケとの差かなあ?指揮者の志向の違いによるところも多いかも。
日頃から無難な作風に思えてならない第三楽章を当然のように無難にまとめて、しっかり呼吸を調えアタッカのままフィナーレへ。いつものようにおお外しをしない有馬さんのホルンに導かれて、歓喜の主題を歌い上げるところで我に気付きました。
インバルはあまり自分の好みの音楽をするタイプではない、と。
この有名なテーマはねっとり厚みをともなって歌い上げて欲しいのに、ここでもやや上滑りしたテンポでさらりとかわしていくような…。
けれども、今の都響から最大限のパフォーマンスを引き出す術を知っている指揮者であるこれまた事実。
なんて考え出していると、主題の繰り返しの部分から、どうやってコーダに辿り着くのか?と頭が混乱しだしていつのまにか…

終演後に「最後は居眠りしていたでしょ」と突っ込まれました。


国内オケの演奏会としては悪くありませんでした。むしろ、いい演奏会。しかし、何も残らない…
やはりあっさりし過ぎなインバル。
思い起こすと、サントリーホールで聴いたブルックナー7番も同じような傾向だったかと…。


どうでもいい話ですが、帰りに立ち寄った焼き鳥屋さん。人は倒れてくるし、食べた量・飲んだ量から逆算するとそんな金額になります?(笑)
それ以外にもなにかとハプニングに見舞われた、しかし楽しい一夜でした。



ウィーン国立歌劇場 2012日本公演

リヒャルト・シュトラウス作曲
「サロメ」 全1幕

指揮:ペーター・シュナイダー
Dirigent Peter Schneider
演出 :ボレスラフ・バルロク
IRegie Boleslaw Barlogn
美術:ユルゲン・ローゼ
Ausstattung Jürgen Rose

ヘロデ:ルドルフ・シャシンク
Herodes Rudolf Schasching
ヘロディアス:イリス・フェルミリオン
Herodias Iris Vermillion
サロメ:グン=ブリット・バークミン
Salome Gun-Brit Barkmin
ヨカナーン:マルクス・マルカルト
Jochanaan Markus Marquardt
ナラボート:ヘルベルト・リッペルト
ENarraboth Herbert Lippert
小姓:ウルリケ・ヘルツェル
Page TUlrike Helzel

第1のユダヤ人:ヘルヴィッヒ・ペコラーロ
Erster Jude Herwig Pecoraro
第2のユダヤ人:ペーター・イェロシッツ
Zweiter Jude Peter Jelosits
第3のユダヤ人:カルロス・オスナ
Dritter Jude Carlos Osuna
第4のユダヤ人:ウォルフラム・イゴール・デルントル
Vierter Jude Wolfram Igor Derntl
第5のユダヤ人:アンドレアス・ヘール
Fünfter Jude Andreas Hörl

第1のナザレ人:アルマス・スヴィルパ
Erster Nazarener Almas Svilpa
第2のナザレ人:ミハイル・ドゴターリ
Zweiter Nazarener Mihail Dogotari *
第1の兵士:アレクサンドル・モイシュク
Erster Soldat Alexandru Moisiuc
第2の兵士:ダン・ポール・ドゥミトレスク
Zweiter Soldat Dan Paul Dumitrescu
カッパドキア人:ヒロ・イジチ
Ein Cappadocier Hiro Ijichi
奴隷:ゲルハルト・ライテラー
Ein Sklave Gerhard Reiterer

ウィーン国立歌劇場管弦楽団
Orchester der Wiener Staatsoper
◆上演時間:約100分


【2012.10.14、東京文化会館にて】


初日を聴きに?(観るが正解?)行きました。

私にとってオペラ・デビューです。

どうしてこの公演を選んだのか、というと、
ウィーン国立歌劇場管弦楽団とは、ウィーン・フィルの母体であること、
残念ながらウィーン・フィルの来日公演は今年はお休みであること、
指揮者が音楽監督フランツ・ウェザー・メストであること、
モーツァルトやドニゼッティと比べるとオケの出番が沢山あること、
ウィーン・フィルのR・シュトラウスに外れが少ないこと…
などがその理由でした。

しかし、メストは故障により(←競走馬かっ?(笑))ドタキャン、
フィガロの結婚に帯同しているペーター・シュナイダーに指揮者変更。

気持ちをコントロールするのに時間が必要です。
いえ、シュナイダーにはたしかに、全く華々しはありませんが、職人気質なイメージがあり、悪くはないのです。
でも、もしメストでなければ、「サロメ」ではなく、ワーグナーだったかも知れない…
と考えると複雑です。

このニュースを知って、
もし次回がワーグナーなら行きたいなあ。
と話をすると「まだ今回、終わっていませんから(笑)」と爆笑される始末。
そんなところまで、テンションが下がっていました。

けれど、何だかんだでも、前日には気分が盛り上がります。
前日の夜には、サロメ最大の見せ場、第四場の「踊り」の場面から終結部までを4~5回聴いて耳に十分刷り込んで当日。
ついでにストーリーもよくわかっていないのでかいつまんで理解。

平たく言えば、
王女サロメが不死身といわれる預言者ヨナカーンに片想いするも、全く相手にされない。
サロメの父、王ヘロデから踊りを見せてくれたらお前の望を叶えてやろう、と言われ踊ってみせた後、ヨカナーンの首をとってくれと懇願。
結局、首取り人が仕事をして生首に「キスしたい」「やっとキスできた」「あなたは私のもの」と愛しく抱き締め、
見かねた父に命を落とされる。

こんな感じでしょうか?(笑)
平たすぎ???(大笑)

そうして迎えた当日。
眠くならないように、とアルコールをグッと我慢するランチを食べて、
開場時間早々に開場に到着。

一目散に夢にみたオケピットを目指します。

そこには、VPOのメンバーが思いのままに練習しているではありませんかっ!
ウィーン国立歌劇場管弦楽団といっても、その実態は紛れもなくVPOそのものでした。

もっとも昨年来日していたメンバーが中心で、昨年からの新顔としてはクラリネットのダニエル・オッテンザマーさん、ティンパニにはブルース・ウィリス、ではなく(笑)、に似ているミッターマイヤーさんくらいでしたが、
それでもVPOの面々を間近で観るだけで幸福感に包まれます。

そして、いよいよ開幕。
普段このホールで聴いている国内オケとは物が違いました。

柔らかく美しい、それでいて薄くならず、むしろ濃厚な弦楽器。
輝かしく、突き刺すような金管楽器、
オケのサウンドに十分溶け込みながら、それでいてしっかり主張するウィンナホルン。
息の長いフレーズにも全く危なげない物凄い安定感のある木管楽器。
そして効果的に主張するティンパニ。
一部木管楽器に首席クラスが不在でやや残念でしたが、それでも、やっぱりVPOのサウンドでした。
しかし、メストなら、とかワーグナーならば、さらに、オーケストラ単体公演が聴いて見たかったことも事実です。

一方、舞台は…。
設営がボロすぎる(笑)
全く刺激のない演出。
サロメ、てもっとエグさとエロさがあっていいのでは?
まあ、古い昔の演出を持ってきたので仕方がありませんが…。オペラは難しい。

けれども、そんな思いを吹き飛ばしてくれたのがサロメを歌うバークミンの熱唱。
歌う、踊る、とほぼ休みなしで凄く体力がいるこの役を最後まで見事な歌を聴かせてくれました!
普段は歌入りの演奏会を敬遠しがちのため、あまりわかっているようなことは言えませんが、これぞソプラノという圧倒的な存在感と終始安定した歌唱力にブラーヴァ。

カーテンコールには、そのバークミン、そして、緊急登板に破綻なく見事にまとめあげたシュナイダーに大いに喝采が送られていました。

しかし、このままでは終わらない(笑)
高額チケットの元をとるため、文化会館の楽屋口、つまり、上野公園口に直行。

そう!その目的とは、出演者の皆さんにサインを貰うこと。
当然、VPOのメンバーの方々にも。
指揮者シュナイダーをはじめ、幾人かのオケ奏者からもサインを貰いました。

お疲れにも関わらず、終始低姿勢で快くサインをくださったシュナイダー。
突然の声かけに、こちらも笑顔で応じて下さったオケマンの方々。しっかり握手にも応じてくださいましたが、やはり偉ぶらないその姿勢にますますVPOが好きになりました。
それにしても、普段は舞台でその体の大きさを意識したことはないのですが、
間近で接してみると、皆さん流石に背が高い!(笑)

楽しく、そして、嬉しい、また、オペラとは、の勉強にもなり、充実した一日を過ごすことができました。

ウィーン国立歌劇場。
11月上旬まで、このサロメ、フィガロ、さらにアンナ・ボレーナと上演がありますが、私はこの1公演のみ。
しかし、私の知人の中には、3演目とも行かれる方や、中には全公演皆勤賞を目指す、と言われていた方までいらっしゃって羨ましい限りですが、そこは土産話を期待したいと思います。

来年はオーケストラ単体公演が再開されますね♪