とんとむかし。
あるところに、兄と弟が住んでおった。
あるとき、兄は病気になって、ちっとも働けんようになってしまった。
それで、弟は、「あんちゃんの分まで、おれが働かないかんな」と、毎日毎日、汗みどろになって働いていた。
五月に入ると、山芋が食べごろになった。
弟は、土深くうまっている山芋を掘ってきては、「あんちゃんは病気だから、うまいとこを食ってけろ」と、兄には山芋のうまいとこを食わせ、自分は皮やつるのまずいとこばかり食っていた。
兄は、そんなことなど知らんから、はじめは、「うまい、うまい」と山芋を食っておったが、だんだん、「おれは働かなくても、こんなにうまいものを食っているのだから、弟はどんなにうまいものを食っているかわからん」と、思うようになった。
ある夜、兄はどうでも弟の食っているものが見とうなって、寝ている弟を殺してしもうた。
そして、腹をさいてみたところ、弟の腹の中は、山芋の皮やつるばかりだった。
兄は、「自分でまずいとこ食って、おれにうまいとこ食わせていたのか。こんな兄思いの弟を殺すなんて、おれはほんとに悪いことをしてしもうた」と、後悔したが、もう取り返しはつかん。
兄は、泣いて泣いて泣き通した。泣いているうちに、いつか、ホトトギスになってしまい、
〽 弟恋しい、弟恋しい
と、山の中を飛び回るようになったと。
今でもホトトギスは、山芋のとれる五月になると、
〽 弟恋しい、弟恋しい
と、毎日、八千八声鳴く。ホトトギスの口ばしが赤いのは、あんまり鳴きすぎて、口から血をはくからだとさ。それでモズは、ホトトギスをかわいそうに思って、虫をとっては木の枝にさしておいて、ホトトギスに食べさせているんだと。
山にいったときには、ホトトギスの鳴き声をよーく聞いてごらん。
〽 弟恋しい、弟恋しい
と聞こえるから。
どんぺからっこ ねっけど。
では、聞いてみましょう😌
ばっちゃん、食べたか?
にしか聞こえん😁
ばっちゃん、食べたか?
ウヒョヒョヒョヒョ
ウヒョヒョヒョヒョ😆

