雨の大阪 舞と麻衣 | 村杉Akiraの文学コラム

村杉Akiraの文学コラム

新しい時代感覚で、人間..花や葉そして海や空や街を、淡い色、鮮やかな色で描写。心の色も..。
色調は..絵の具箱より描写...。女性や恋愛を綺麗に描いた...新ロマン派の小説やエッセイと言う絵巻物。村杉Akiraの世界にようこそ...京都、湘南、横浜、東京、博多等が舞台登場。




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《前書き分
さて、この文からkindle出版作品にもその原作にもアレンジと崩しを入れてます。失敗作に終わるかもしれませんが、僕は前向きの気持ちを採用して、細かな失敗を気にしません。失敗すればまた書き直せば良いわけですから。しかしここの処深夜の執筆が続いてます。健康には留意したいと思います。

 —雨の心斎橋—

   僕と舞は大阪梅田で降りて、直ぐタクシーに乗った。大阪も細かな雨が降っていた。
僕の泊まるホテルに近づいてきた。心斎橋も眠らぬ街のようだった。深夜でも店の灯りや、ネオンそして夜の街を歩く人々のが多かった。

   心斎橋のホテルの近くの、コンビニほどの規模ではないが深夜までの営業のミニスーパーあり二人はタクシーを降りた。ミニスーパーは果物や野菜の品揃えが豊富だった。
   舞が買いたいものがあるというので、そこで降りた訳だが、舞は檸檬とカルピスソーダが欲しいと言い、何処かに居なくなってしまった。僕はビールとサンドイッチを買い、舞が帰ってくるまで待っていた。

  舞は僕の処に戻って来るのに時間が掛かった。僕は何とはなしにミニスーパーの外でタバコを吸ったりしていたが、大阪の雨もさらに強くなっていた。
   大阪の雨を眺めながら、僕は不謹慎なことを考えていた。舞が僕の元に戻って来るのが遅かった時間の間だった。だが舞と泊まる気持ちと感情は、男が若い女性を抱きたいという感情はあるのだが、舞は必然といった。僕は偶然と思うがやはり偶然ではできすぎている。その不思議さを知りたい気持ちが優先していた。

  僕は22歳の若すぎる舞と偶然でもあり必然なのかもしれないが、これからホテルで一夜をともにする方へ向かっていた。そのことは物理的にも間違いはなかった筈だ。
  大阪の雨はさらに降っていた。

   でもかつて交際していた銀行員麻衣にはそのような気持ちは持てなかった。麻衣は舞より10歳以上年上の33歳の独身のキャリアウーマンの銀行員だった。最初の出会いは早朝のcaféで舞が傘を置き忘れた思い、声を掛けたが小さな声で「いえ」と言い自分のローズの傘を見せた。その後、目と目のアイコンタクトの会話や小さな声での会話が続いた。

  でも、僕は麻衣に対しては性的なものは求めてはいなかった。むしろ聖域であり白梅であった。凛とした白梅は汚がしたくはなかった。そして「あなたは白梅です」という俳句を作り銀行が営業の最後の日の12月30日に渡した。麻衣については前後いろいろあるが後日に描写しよう。今日は女子大生舞である。

  舞が戻ってきた。大人っぽい化粧をしている。瞳が輝く大きな目にアイライナーを引き、目が輝いているだけでなく目元が清楚に観えた。ブルーのシャドーを薄く塗っている。ナチョラルで涼しげな目元だった。小さな唇の紅色のルージュも綺麗に引かれていて、舞に似合うと思った。京紅ということばを思い出した。

   ここから心斎橋のホテルまでは僅かな距離だった。雨は既にやんでいたので、二人して深夜の道を歩く。この僅かな道にも桜が咲いている。京都より開花は早いようだ。桜の蕾の中に三分咲きから五分咲きの花びらが観える。
   でも今夜の主役は、桜の蕾の舞だと思った。蕾だから舞らしかった。ホテルに着く。
   フロントは深夜なので、無人だった。僕は自分の予約している部屋に舞と入った。

  ホテルの部屋に、舞と入ると、窓に叩きつける雨音が聞こえてきた。激しく斜めに雨が降っている。京都の雨は気紛れのようだったが、大阪の雨は本格的なようである。
  少し開花している大阪の桜も、明日の朝は少し散るだろう。でも桜の蕾の舞は、今から綺麗な花を咲かせるんだろう。

  舞はこの部屋は明るいわ。少し照明を落としてくれると言い、二人とも暫く無言であった。暫しの間、僕の頭の中ではある思念が過る。僕と舞は、確かに偶然に会った。でも会うことに必然があったように思っていたが、本当にそうだったのだろうか。
池袋のデパートで幼児の女の子が転んで、顔を打ち顔が血だらけになった。僕にもその記憶がある。でも遠い記憶は勘違いもあるかもしれない。僕と舞は昨日初めて会ったばかりなのかもしれない。

  僕と麻衣は何度も会っても僕が麻衣を白梅はと聖域化したため、多分心の交流だけで男女の関係にはならなかったのだと思う。

   舞が短く言った。「麻衣さんのこと考えてるでしょう」舞のいつもの悪戯っぽい笑みはなかった。
   外の叩きつける雨はさらにひどくなっている。外の激しい雨音が、僕と舞のお互いの日常も人間関係も、すべて覆い包んでいる。
僕と舞しか知らない時間であり空間である。サイドテーブルにあるレトロな時計の秒針だけが、真夜中の時を刻んでいる。

つづく