今回も9人による人狼ゲームについて解説します。

対象のレギュレーションは前回までと同じです。

 

前回、人狼陣営が「偽物の占い師」や「偽物の霊能者」に名乗り出る必要性について解説しました。今回からその内容をさらに掘り下げていきます。

 

占い師や霊能者として名乗り出る(CO:カミングアウト)タイミングは基本的に自由です。但し、人狼会によっては投票時のコメントで役職を名乗り出ることを禁止する場合がありますので、ゲーム開始前にGM(ゲームマスター)にルールを確認するようにしましょう。

では、参加するプレイヤーにとって分かりやすくなる状況にはどういうものがあるのでしょうか?

その代表例が、初日に占い師・霊能者が名乗り出るという方法です。これをフルオープン(FO)と言います。もちろんその際に偽物の占い師・霊能者が名乗り出る可能性があります。

 

さて、今回は初日に3人のプレイヤーが占い師として名乗り出て、1人のプレイヤーが霊能者と名乗り出た場合について考えていきましょう。

この状況を人狼ゲーム用語として「3-1陣形」と言います。前者の数字が占い師として名乗り出た人数を表し、後者の数字が霊能者として名乗り出た人数を表します。

 

占い師本物の占い師は1人しかいないので、2人は偽物ということになります。一方、今回は霊能者として名乗り出たプレイヤーは本物の霊能者であることを前提とします。(偽物の霊能者が名乗り出ていて本物の霊能者が名乗り出ていない場合については別の機会に解説いたしますが、簡潔に言うとその場合は本物の霊能者が初日の議論中に名乗り出た方が良いです。)

 

さてこの時、占い師に名乗り出たのは誰なのでしょうか?

基本的には以下の2つが考えられます。

①本物の占い師と狂人1人と人狼1人が占い師として名乗り出た。

②本物の占い師と人狼が2人とも占い師として名乗り出た。

(この他に村人や騎士が占い師に名乗り出た場合も考えられますがそれは別の機会に解説します。簡潔に言いますとほとんどの場合において村人陣営が不利になります。)

 

さて、初日の議論中に役職がフルオープンとなりました。では、初日の投票対象は誰にするのが良いのでしょうか?これも2つが考えられます。

(a)占い師として名乗り出た3人を投票対象にする。

(b)占い師にも霊能者にも名乗り出ていない5人を投票対象にする。

 

ここで2×2の4パターンが出てきました。これらについて考えていきますが、その前に初心者の方に覚えていただきたい人狼用語があります。

それは「吊り数」です。「吊り縄」「縄数」とも言います。

 

人狼ゲームにおいて、人狼を排除できるチャンスは昼のターンの投票のみです。

(ハンター、猫又などの役職が入る場合は投票以外で人狼を排除できる場合がありますが、今回の解説のレギュレーションではその役職は無いので、その可能性は考えません。)

そのチャンスは何回あるのでしょうか?それを表すのが「吊り数」です。

 

9人のレギュレーションの場合「吊り数」は4です。

これは「騎士による護衛成功が起こらない前提」で考えます。もし騎士による護衛成功が2回発生した場合は吊り数が1増えて5となりますが、それは村人陣営にとって騎士の働きによって後に発生したボーナスと考え、あくまで希望的観測です。基本は護衛成功に頼らずにあくまで投票によって人狼を排除することを考えていきます。

 

「吊り数」は4ではありますが、こちらの記事の解説の通り1日目と2日目連続で村人陣営を追放した場合、3日目の投票までで村人陣営が確定する場合があります。また人狼の勝利条件も考えますと村人陣営が勝利するには以下の条件が必要になります。

 

(ア)2日目までに人狼陣営を1人以上排除する。(但し、例外のケース有)

(イ)残り人数が4人になるまでに人狼を1人以上追放する。

(ウ)残り人数が2人になるまでに人狼を2人とも追放する。

 

例えば4回のチャンスの中で追放したのが、村人陣営→狂人→人狼→人狼であれば村人陣営の勝利です。村人陣営→人狼→狂人→人狼でも村人陣営の勝利ですし、もちろん村人陣営→人狼→人狼や、人狼→村人陣営→人狼などでも村人陣営の勝利となります。

逆に騎士による護衛成功が無いと仮定して追放したのが、村人陣営→狂人→村人陣営などの場合は人狼陣営の勝利です。

 

それでは初日の進行について先程4つのパターンを考えていきましょう。

 

①本物の占い師と狂人1人と人狼1人が占い師として名乗り出た。

かつ

(a)占い師として名乗り出た3人を投票対象にする。

 

①の内訳を人狼用語で「真狂狼(しん・きょう・ろう)」と言います。

初日の投票によって3人の誰かが追放されます。霊能者は夜のターンに追放されたプレイヤーが人狼であるかを確認できます。もし、霊能結果が「人狼(黒)」であれば、村人陣営としてはひと安心ですね。そして残る占い師候補は本物と狂人になるので、残りの人狼1人は占い師にも霊能者にも名乗り出ていないプレイヤーの中にいます。

逆に霊能結果が「人狼以外(白)」であれば残る占い師候補の中にまだ人狼が残っています。この人狼も追放しなければ村人陣営が勝利することはできません。

2日連続で占い師候補から追放したにも関わらず、霊能結果が2回連続で「人狼以外(白)」であれば、残った占い師候補が確実に人狼であることが分かりますので3日目はその人狼を追放します。この場合「吊り数4」の内3回で人狼1人と狂人1人を追放しました。残る吊り数は1です。この1回のチャンスで占い師にも霊能者にも名乗り出ていないプレイヤーの中からもう1人の人狼を追放できれば村人陣営の勝利となります。

 

この様に、占い師に名乗り出たプレイヤーを追放対象として順番に追放していくことを人狼用語で「占いローラー」と言います。

またこの前提の場合、霊能結果で「人狼(黒)」を見た後は残りの占い師を追放する必要性は下がります。霊能結果で「人狼(黒)」を見た後「占いローラー」を止めることを人狼用語で「黒ストップ」と言います。

 

では次のケースを見てみましょう。

 

②本物の占い師と人狼が2人とも占い師として名乗り出た。

かつ

(a)占い師として名乗り出た3人を投票対象にする。

 

②の内訳を人狼用語で「真狼狼(しん・ろう・ろう)」と言います。

先程「黒ストップ」という考え方が出ましたが、このケースに適用するとどうなるでしょうか?3人の中に人狼が2人いるので、人狼は1人残ったままです。「黒ストップ」の判断のもと残りの投票を全て占い師にも霊能者にも名乗り出ていないプレイヤーとすると、人狼は最後まで1人残るので人狼陣営の勝利となります。逆に、「占いローラー」を続行した場合は2日目の昼または3日目の昼までで村人陣営の勝利となります。

 

さて、①と②では内訳が異なります。

では、1日目の時点で内訳が①と②のどちらであるのかを知っている人はいるのでしょうか?

 

それはゲームマスター(GM)です!

 

・・・とちょっとボケてみました(笑)

今の質問はもちろん「プレイヤーの中で」という意味ですよね。

 

答えは「人狼の2人と狂人の1人」です。

 

①の場合、人狼目線で人狼以外に占い師に名乗り出ているプレイヤーは2人いてその内訳は本物の占い師と狂人であるという推測がつきます。一方、狂人は自分が名乗り出ているので残りの2人は本物の占い師と人狼であるという推測がつきます。

 

②の場合、人狼目線で2人とも名乗り出ているので、狂人は名乗り出ず潜伏していることが分かります。狂人も自分が潜伏しているのが分かっているので、名乗り出ている偽物は2人とも人狼だと分かります。

 

では、本物の占い師目線ではどうでしょうか?

本物の占い師目線で分かることは「偽物が2人名乗り出ている」ということだけです。

その内訳が①②のどちらであるかは分かりません。

村人陣営の他の役職(霊能者・騎士・村人)にとっても同じです。

つまり、村人陣営は①②両方の可能性を考えた上で議論・投票する必要があります。

 

では以上を踏まえて、村人陣営として有効な作戦はあるのでしょうか?

広く知られている作戦として、黒ストップせずに3人の占い師候補を吊りきるというものがあります。

この場合、2日目までに必ず人狼陣営を1人以上追放しているので3日目にパワープレイで負けることはありません。そして4人以下になるまでに必ず人狼を1人以上追放しているのでこの時点で村人陣営が負けることはありません。内訳が②の場合はこの時点で勝利です。

①の場合、4日目に残ったプレイヤーの中から人狼1人を探すことになります。これまでに各占い師が言った占い結果や残ったプレイヤーの挙動などから人狼を当てるという展開になります。

 

ここで以下のケースを考えてみましょう。

内訳が①の場合に「黒ストップ」をした時のメリットとデメリットを考えます。

メリットはもちろん残り1人の人狼を探すための投票が複数回できるということです。

しかし、デメリットもあります。残っている占い師候補の中に狂人が残っている可能性があります。

例えば、1日目から3日目までで追放したのが、本物の占い師→人狼(ここで黒ストップ)→村人 だとします。騎士による護衛成功が無い場合、4日目の残っている3人の内訳は、人狼・狂人・村人陣営の3人になります。このときはパワープレイ(PP)が成立しますね。つまり狂人が残っている時がリスクということになります。

 

このデメリットを考えれば、内訳が①だと推測しても「占いローラー」で3人とも追放するのが、村人陣営にとって安定的である、という考え方があります。

 

さて、それを踏まえて今度は人狼陣営の立場に立って考えてみましょう。

役職の内訳は①と②、どちらが人狼陣営にとってより安定的と言えるのでしょうか?

先程の通り、村人陣営は内訳が①だと思っても「占いローラー」で3人とも追放する可能性があります。つまり②の場合は議論の方向性が「占いローラーで3人とも!」となった時点で人狼陣営の負けが確定します。つまり、人狼陣営にとっては①の方がより安定的と言えます。

 

もちろん、村人陣営が内訳を①と決め打って「黒ストップ」とする場合もありますし、その裏をかいて人狼陣営が内訳を②にする場合もあります。

それは人狼ゲームとしての「推理」と「駆け引き」の要素となります。

 

 

記事が長くなってしまいました。

残る①と(b)、②と(b)のケースについては次回解説します。