友人から下記の案内を頂きました。

平和や民主主義は、誰の為のものなのでしょう。

もう一度良く考えるきっかけにしたいものです。

山口実


                         記



   映画【消えた鎮守の森】上映&井原勝介岩国市長講演

とき●9月1日【土】13時30分開場

① 14時より映画上映「2006岩国住民投票の記録」(29分)(消えた鎮守の森)(80分)西山監督挨拶 
② 16時 井原勝介市長講演 
③ 意見交流会・渡辺ひろ子さん(平和といのちをみつめる会)

ところ●福岡市健康づくりセンター「あいれふ」9階 大研修室
   福岡市中央区舞鶴2-5-1 電話 092-712-2662
 (少年科学文化会館の隣)地下鉄赤坂駅徒歩5分
   交通アクセス地図 http://www.kenkou-fukuoka.or.jp/airef/access/access.htm

   ● 参加費 1000円
●主催「へこたれるな!岩国クン」福岡応援団
「連絡先」●ふくおか自由学校(092-562-3979)
     ●NGO「人権・正義と平和連帯フォーラム」(092-621-6211)
     【映画の問い合わせ】092-942-7406 n-aitaro@nifuty.com

*西山正啓(記録映画作家)
「ゆたんざ沖縄」「梅香里」「しがらきから吹いてくる風」 「朝の時間」「ぬちどぅ魂の声」「水俣わが故郷」など作品多数。
*井原勝助(いはらかつすけ)
山口県岩国市長。2006年3月、米軍再編による神奈川県厚木基地から 「米空母艦載機部隊」の移駐受け入れの是非を問う住民投票を実施。
全国的に注目される。結果は投票率58%、受入反対が87%を占めた。 同年4月、町村合併後に行われた新市長選でも圧倒的な支持を得て再選。 主権在民、住民自治、地方自治への関心を高めた。
*渡辺ひろ子(わたなべひろこ)
   航空自衛隊築城基地がある福岡県築上町在住。在日米軍再編に伴う日米共同 訓練に反対する市民団体「築城基地への訓練移転、日米共有化・海兵隊基地化に反対する会」代表。

 住民投票を経験したからこそ気づいたことがある。この国の政治は平気で約束を破る。
非協力の自治体に対して法律をつくってまでしてあからさまにイジメる。―
― なりふりかまわず強引に進められる米軍再編。あなたは米軍再編によって苦しめられている地域住民の声を聞いたことがありますか?―

 住民投票から一年、新市庁舎建設への補助金カット、愛宕山ニュータウン開発造成地の米軍住宅転用問題など、岩国市に次々と押し寄せる無理難題。見えてきた米軍再編のからくり。


●映画「消えた鎮守の森」解説

 2月8日横須賀市議会が「原子力空母配備の是非を問う住民投票条例案」を 31対10で否決した。その原子力空母艦載機59機の受入れ是非について 住民投票を実施したのが山口県岩国市。戦後60年国の政策を従順に受入れ 米軍基地と共存してきた筈の人々が住民投票で“もうこれ以上の基地強化は イヤだ!”と堰を切ったように意志表示したのです。それから一年、住民 投票時に全国から殺到したマスコミの喧騒がウソのような静けさの岩国で 今何が起きているのか。

●基地騒音から逃れ、広葉樹と竹林に覆われたなだらかな愛宕山丘陵に “終のマイホーム”を求めた人々がいる。なだらかな丘陵の頂きには 由緒ある愛宕神社が祀られ鎮守の森が里山に暮らす人々の心を癒していた。
 毎年春になると桜の満開の下で繰り広げられる奉納子ども相撲大会の 歓声が里山に響き渡っていた。その鎮守の森が開発によって削られる ことになった。

「悲願の沖合移設、そのための愛宕山開発」
 この10年間、岩国市民はこう思いつづけてきた。米海兵隊航空基地 滑走路を沖合に出すことで戦闘機騒音は軽減され、沖合移設工事に よって街の経済は潤う。その埋立て土砂を取るために愛宕山を削るのは 仕方がない、と。完成の暁には“東京の田園調布”を凌ぐニュータウンが 出来るのだから、とも。

 元々「愛宕山地域開発」は米海兵隊岩国基地滑走路を沖合に移設する拡張 工事の埋立て用土砂を確保するために始めた公共事業だ。山口県と岩国市の 負担割合が2対1、総事業費は851億円。その内のおよそ400億円は 埋め立て用土砂を国(旧防衛施設庁)に売って賄い、残りの451億円は土砂採取跡地に山口県住宅供給公社が新住宅市街地開発法によって「夢の ようなニュータウン」を造成し、その販売代金で収支を合わせるという ものだった。

 沖合埋立て用の土砂搬出事業は2007年3月に完了した。ところが基地拡張の目的を達成した途端、山口県は岩国市に対し開発事業の中止、共同 事業の解消、区分所有することで事業の単独清算を迫っている。赤字は 山口県と岩国市が2対1の割合で損失補償する。負担額は県が167億円、 岩国市が84億円とされている。県の狙いは赤字を解消するため跡地を 国に売るというもの。一方国(防衛省)は土地を取得した後、有力な
 選択肢の中に米軍住宅建設があると、はっきり宣言している。これは 明らかに米軍再編以前に仕組まれていたシナリオだ。そう疑われても仕方がない。

 住民投票から一年、沖合移設のからくりがはっきりと見えてきた。 そして今、岩国市は国・県によるあの手この手の策略とイジメにあっている。 一つは現在建設中の新市庁舎への補助金カット。国は米軍再編推進特措法を つくってまで非協力の自治体、特に岩国市と沖縄名護市には交付金を支給 しないのだという。これは言うことを聞かない自治体はこうなるのだというあからさまな見せしめである。

 もう一つは1月30日に突然発表された愛宕山開発地域を米軍住宅に転用 するというものだ。もしあなたの家のすぐ目の前にフェンスが張られ、 “治外法権”同然の米軍住宅が建てられたら、と想像してほしい。周辺住民、土地を提供した人たちが怒るのは当たり前だ。

●庭先に造成地のフェンスが広がる家の主婦が「あ・た・ご・や・ま」
 パズルを解くため積極的に自治会活動をはじめた。彼女は騒音軽減の ためなら愛宕山開発も仕方がない、と造成工事に同意した一人だ。しかし 工事が始まるとダイナマイトの振動で育児に悩まされ、砂ぼこりで洗濯物も外に干せないなど生活環境の激変で愛宕山開発に疑問を抱くようになった。
 そしてその疑問符は次第に沖合移設と米軍再編のからくりへと向かうようになった。

 「戦闘機騒音の軽減」「悲願の滑走路沖合い移設」「土砂埋め立て」「愛宕山ニュータウン造成」「売れない宅地」「住民負債」 「国が買い取り」「米軍に提供」「米軍住宅建設」。

 彼女は家族を守るために始めた活動なのだと言う。
 それが自治会活動、住民投票へとつながっていった。

●住民投票を経験したからこそ気づいたことがある。見えてきたことがある。
 この国の政府は約束を平気で破る。非協力の自治体をあからさまにイジメる。
 住民説明会で自治会役員の主婦は問う。本来は学級担任の山口センセイが 止めなければいけないのに、どうしてニチベイ教頭と一緒になって 岩国くんをイジメるの?

 普段はおだやかな自治会長さんが申入れの席で言う。この国の首相は美しい 国づくりというけど、有刺鉄線が張られ、米軍住宅が建てられた地域を 美しいと思いますか?

 国の言うことを信じて素直に従ってきた岩国の人たちが本気で怒っている。
 住民投票後の岩国の住民感情はこの国の民主主義のあり方を試す強烈なリトマス試験紙だ。それをいちばん良く知っているのは「消えた鎮守の森」なのかも知れない。へこたれるな岩国くん! 
   西山正啓(ドキュメンタリー映画作家)