一昨日1000 Peace Womenの翻訳チェックが予定より早く終わったので、映画「ミリオンダラー・ベイビー」を見ました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%99%E3%82%A4%E3%83%93%E3%83%BC  (長いですね。ミリオンダラー・ベイビーのWikipediaを検索したほうが良いかも)
 ハッピー・エンドとは行かず、内容もかなり重いので、(一人で見ていたこともあって)さすがの僕も暗い気持ちになりました。もちろん、とても良い映画ではあったのですがーーー。
そこで、暗い気持ちになった理由を考えて見ましたら、「今の世の中と重なる部分が多いからだ」と言う答が出てきました。例えば、
1)主人公達は、Working Poorとも言える人々です。コツコツ頑張っても、良い所は他の人に持って行かれる。
2)ヒロインが女性であること、若くはないことでコーチを断られるシーンは、雇用の問題と共通するものがあります。
3)個性的な主人公は、学校であればいじめの対象になるでしょう。映画の中では、マッチメーキングが出来なくなると言う状況がそれです。
4)左のガードの甘いヒロインに、イーストウッド扮するコーチが繰り返し、「自分を守る」事を教えます。これも、私が日頃から繰り返し訴えている「自分の頭で考える」こと、「問題の本質を捉える」ことの大切さと共通するものがあります。
5)そして、反則やり放題のチャンピオンを止められないレフェリー。こつこつ努力してチャンピオンになったはずの主人公が、反則によって傷つき負けて再起不能になってしまう理不尽さは、今の世の中と共通したものがあります。
6)最後に死ぬ権利を主張するヒロインに思い悩みながらも手を貸してしまうコーチ。これは今の医療や社会保障の問題を象徴するものではないでしょうか。

 考えれば考えるほど、多くの共通点が出て来そうですが、一層気持ちが暗くなりそうなのでこれ位で止めます。
 
 ところで、この映画の救いはヒロインが貧しい境遇から自らの力で抜け出して、夢を実現することですが、今の世の中でどれだけの人が「夢を実現したから死んでも良い」と思えるでしょうか。


山口実