米国のお先棒担ぎの政策はもはや独立国日本としての外交とは言えないと思います。
日本を米国の前線基地として認め、ましてや世界各地の前線に米軍の尖兵として兵隊を送ろうというのでは、戦後60余年育んできた平和主義が水泡に帰してしまいますし、日本国民への危険は私達の想像以上に増大します。
外交と言うのは硬軟織り交ぜ、押したり、引いたりしながら、折り合うべき事柄です。ただ、引くばかり、押すばかりというのでは能がありませんし、また米国の顔色を見ながら外交政策がころころ変わるのでは、国際社会の信頼を失います。
もちろん、金正日政権が理不尽であることは明らかなことであり、早急にその政策を改めさせるために、外交的圧力をかけることは重要でしょう。しかし、今の日本政府の外交を見ていると、中国に対する敵愾心丸出しで、「協力して金政権を追い詰める」と言うより、「中国の面子をつぶす」ためにエネルギーを費やしているように見えます。(それに対抗して中国も安保理で多数派工作をしているのですから、私にはお互い本末転倒のエネルギーの無駄遣いとしか思えません。)
中国も韓国も日本にとっては一衣帯水の国。これら国との対話もままならず、協力も得られないのでは、決して極東の平和を維持することは出来ません。
一方、今回の国連安保理での北朝鮮制裁決議案について、日本政府首脳は、「中国の拒否権行使は国際社会からの孤立させる」と喧伝していますが、最近国連で拒否権をしばしば行使しているのは米国で、日本はその多くに追従しています。これは日米の国際社会からの孤立あるいは分裂を認めているようなもので、そのような外交政策が成功することはまずないでしょう。http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20060711/mng_____tokuho__000.shtml
先にも申しましたが、北朝鮮に対しては5カ国が一致団結して事に当たるべきです。仲間割れをしていては、結局有効な外交的圧力を行使することは出来ず、北朝鮮を勇気付けるだけです。問題の本質が何なのかをもう一度良く考えるべきです。
山口実