最近の書き込みでは在日米軍再編費用負担のことに焦点を当ててきましたが、誤解が生じると困るので少し私の考えを述べたいと思います。

私の理想は非武装・非同盟・中立です。そのことを非現実的だと批判する人は多くいるでしょう。しかし、この理想が実現できれば、誰にも文句はないと思います。だから、理想なのです。子どもの頃この問題で、父と大激論を交わしたことがあります。大正デモクラシーの体現者のような父も「理想だが、非現実的だ。」と言いました。それに対して僕は「理想と言うのは良い事でしょう。どうしてそれを実現しようとしないのですか。」と言って延々議論しました。中学校の頃だった思います。もちろん、米国の沖縄占領はまだ続いていました。

私は未だに沖縄を訪れることが出来ないでいます。それは、終戦直前に亡くなられた多くの方々の霊に対面する自信がないことと米軍基地の存在に苦しむ人々に申し訳ない気持ちで一杯だからです。これを単なる「逃げ」だと批判する人もいるでしょう。その批判は甘んじて受けますが、やはり沖縄の米軍基地は可及的速やかに撤去すべきですし、その後に自衛隊の基地を置くべきではないと思います。

いつか目取真俊さんが「基地を沖縄に押し付けて、自分達だけ良ければ良いと考える国は滅びる。」と言う趣旨のことを西日本新聞に書かれていました。これを読んだ時結構ショックでしたが、私も同感です。沖縄の人々の苦しみは、私たち日本人全ての苦しみです。もし、苦しみを共有できないのなら、沖縄を独立国として認めるべきだと思います。

先日、在日米軍再編問題で普天間基地の返還とキャンプ・シュワブでの代替施設建設の計画が、2プラス2で合意されました。沖縄の負担軽減が謳い文句ですが、果たして軽減になるのでしょうか。ヘリポートの話が、いつの間にか1800Mプラスオーバラン100Mの滑走路2本に摩り替えられ、従前からあったキャンプ・シュワブの米軍基地拡張と恒久化の推進と考えることは単なる杞憂なのでしょうか。

私は、日本国民全てが沖縄の基地全面撤廃を切望し、その為の努力を続けることが不可欠だと考えます。間違っても、既存の状態に甘えて基地を恒久化するようなことがあってはなりません。在日米軍再編・強化のロードマップや日米軍事同盟強化の為の新ガイドラインを作成するのではなく、沖縄の基地返還の為のロードマップを作成することが一番の急務だと考えます。それが平和に暮らしていた琉球王国の人々を征服し、その財産を収奪して来た私たちの義務です。それが出来ないなら、平和な琉球を独立国として認めるべきだと思います。

山口実