昨日はいろいろな人からパワーを頂きました。
まず午前中に、こちらのある大学の副学長にお会いしました。大学の先輩で日頃から親しくして頂いている、とても頭の柔らかい素晴らしい方です。お会いしたのは、私の考えている大学での音楽プロジェクトとミラクルバナナへの支援に就いてお話するためでしたが、まず副学長の方から学校の音楽プロジェクト(まだ、具体的にご披露できませんが)のご紹介があり、協力を要請されました。私の考えていたこととバッチリマッチするので、今後具体的なお話を進めることにしました。ミラクルバナナについても、大学での上映や講演にご支援願えそうで、近々担当の教授を紹介して頂きます。
午後に、焼酎ルネッサンスのコンサルタントをして頂いていた中小企業診断士(と言うより診断士を教える先生)の先生にお会いしました。友人のラジオ番組のスポンサー探しのお願いが主な目的でしたが、久しぶりにお会いしたのでいろいろ面白い話が出来ました。
一つは、焼酎ルネッサンス・プロジェクトの再構築に就いて。もう一つは、もちろんラジオ番組のスポンサー探しに就いて。結構面白い展開が期待できます。
夜は、私の最も尊敬する知識人の一人であるノーベル賞作家の大江健三郎先生の講演を聴きました。この「『壊れること』に逆らう」と言う講演は、ユーモアに溢れた素晴らしいものでした。また、講演の中で、先生の暖かいお人柄に触れることが出来て、「言ってよかった!」と思えるお話でした。本件に就いてはその内容を少し具体的にご披露します。
まず、先生は奥様にめっぽう弱いご様子で、それがとても微笑ましい感じでした。先生が、いろいろなことで一緒にご苦労を共にされた奥様に感謝され、奥様を尊敬されている様子が伺えました。時々、奥様に敬語を使われているのには、笑ってしまいました。後で一緒に行った女房にその話をしたら、「奥さんが強いほうが家庭は円満」と言われ妙に納得しました。(因みに、奥様のゆかりさんのお父様は美男の名映画監督、伊丹万作さん、お兄様は同じく美男の名監督の十三さん。大江先生も講演の中で「『いい男はたくさん見てきたので、顔には拘らない。』と結婚の前に言われた。」と苦笑しながら、話されていました。笑)
また、昼に行った講演の内容が、「前半と後半がバラバラだった」とかで、「お話の内容を変えた」と言われていたのですが、「書き直した原稿を忘れた。」と言われた時には、爆笑してしまいました。来場した数少ない若い女性が「先生は可愛い人」と話しているのを耳にしましたが、まさに「可愛い人」とでした。素晴らしい作品を世に出し、世界最高の賞を受けながら、権威主義的でなく大変謙虚な人柄に触れて、とても感銘を受けました。
さて、前置きが長くなりましたが、講演の内容の中身を少し紹介します。先生は今の世の中が政治も含めて壊れつつあることを指摘されて、「『壊れること』に逆らう」為に、次の方法を示されました。
1. 記憶すること。
子供の頃に覚えたことを忘れないことが大切。
先生が覚えているハックル・ベリーフィンの冒険の一節をご披露され、それが自分の筋の通った行動のルーツになっていることを分かり易く説明されました。
起きたことを記憶していることによって、強い権力の乱用にも抵抗できる。
もちろん、戦争や混乱等も忘れては行けないことです。
2.「子供は回復するものだ」ということを第一の前提にすること。
ご子息の光さんの病気についてもお話になりました。大変な苦労があったと思いますが、病気の回復を見守る姿が目に浮かびました。(余談ですが、講演が終わって、食事に行った時大声で携帯電話をしている女の子を見かけて、余りに酷いので注意をしました。女の子は素直に謝って出て行きました。大人は「子どもが回復することを前提」にして、注意すべきは注意する必要があるのだと実感しました。)
3.Capability( 伸びる素質)を大切にする。少なくともそれをつぶしたり、妨害しない。
大学に入ろうとした際、文学部行きを妨害した伯父さんの話、先生の考えを良く聞いてそれを支持してくれたお母様の話をされました。他人と自分のCapabilityを大切にすることが、「壊れること」に逆らう有効な手立てであることを強調されました。
4.注意深く見守ること。
不幸な人がいれば、注意深く見守り相手が必要とする時に、手を差し伸べることが大切さ。光さんの癲癇の発作が起きた時、「好奇心で行動せず、状況を注意深く見守ってくれた」若い女の子の適切な行動に就いてお話になりました。
5.具体的な言葉で言う。
壊れた時、壊れそうになった時は、その方法を具体的な言葉で示すことが必要である。
先生は、学資の面から大学院への進学を諦めた時、恩師の渡辺一夫先生に酷く叱られた後、「一人の小説家の本を3年間読むこと」を勧められたそうです。それを忠実に守り45年間で15人の小説家の本を徹底的に読まれたそうです。
山口実