きのうの深夜にNHK総合テレビのにんげんドキュメント「親子三代 能登百年の老舗旅館」と言う番組の再放送を見ました。「旅行業者の総合評価が25年連続日本一の老舗旅館が能登にある。すべてを仕切るのは女将の小田真弓さん。先代女将から受け継いだ『もてなしの心』を大切に守っている。一年前、女将候補が嫁いできた。旅館を守る女将の姿を追った。」http://www.kagaya.co.jp/kagaya/tradition/genki_07.html

 能登の加賀屋さんの女将さんが、先代の「お客のすべてを受け入れよ」と言う教えを守り、繋いで行く姿にスポットライトを当てていましたが、ここにも日本再生のヒントがあるように思って、まんじりともせずこの番組に見入りました。

 三波春夫さんの「お客様は神様です。」と言う言葉に象徴されるように、かつての日本はお客様を大切にしていました。欧米からMBAのマーケッティングを学び、顧客のニーズの大切さを知りました。このお客様と言う概念は、一番大切なもの、物事の本質と置き換えられるのではないかと思います。

 お客のニーズを直接聞く為に、毎日客室周りを欠かさず、現場を隅々まで回る女将、先代の教えをしっかりと守り、その理念をしっかりリレーしようと若女将や従業員を教育する女将の姿。大変な仕事だけれども、これが日本人の本来ある姿だととても感動しました。また、活躍するのは肌理細やかな心遣いを持った女性でした。

 旅館業はサービス業です。しかし、ものづくりとも共通するところがありました。お客のニーズを知って、より良いサービスを心がける(良いものをつくる)。現場を徹底的に歩く日産ゴーン社長とも重なる部分がありました。(一つ忘れていました。あまり知られていませんが、ゴーンさんの改革に「女性の平等且つ積極的な管理職への登用」と言うのがあります。これは日産を生き返らせた大きな要因です。)

 心身とも本当に疲れる仕事だとは思いますが、女将の顔は自信に溢れ、キラキラと輝いていました。それはやはり「お客様に喜ばれ支えられている」と言う自負から来るものだと思います。

 私は、日本人はバーチャルな世界でお金儲けを追及するより、より良いもの(サービスも含め)を 作ることでその文化を世界に誇るべきだと思います。また、自分の思い込みを相手に押し付けるのではなくて、相手の立場に立って物事を考える姿勢も大切です。

 ライブドアやヒューザーとは対極にある加賀屋の女将の姿勢は、これからの日本が進むべき指針であるとこの番組を見ながらつくづく考えました。 

山口実

P.S. 他にも興味深い話がありました。

1)女将の教育法。

 ・グダグダ言わずに女将の背中を見せて教育する。

 ・年末に若女将に茶室の飾り付けを任せたように、「権限を委譲し、自分の頭で考えさせ働かせる。」

 (これは一番効果のある教育法で、私も行く使った。)

 ・そして上手く行ったら必ず褒める。「上出来!」

 ・問題が起きたら、即行動をとって、改善する。それを部下にも徹底させる。

2)膝の負担。

 和服を着て100人もの客の挨拶に回ると膝に物凄い負担がかかる。先代は長年の膝への負担から車椅  子の生活になり、女将の座を譲ったとのこと。私達の想像を絶する話。(そう言えば、「徹子の部屋」で女優の多岐川由美さんが酔っ払ってワゴンタクシーに乗り損ねて、膝をしたたか打ったら、時代劇で和服を着て演技する際、膝が痛くてえらい苦労したと話していた。)

3)若女将

 前職がFlight Attendant。初めの頃の口上の調子がFlight Attendantそのもので笑ってしまった。しかし、あの仕事は大変だわ。

素晴らしいサービスの裏にはたゆまぬ努力あり、ですね。とても勉強になりました。