『スカーレット・レター』
五十嵐 貴久 作
実業之日本社 出版


あらすじ
文芸編集者の春川澄香は、新人作家の山科和美と打ち合わせをするため岩手県に向かった。
半日かけてやっとたどり着き、温泉宿の部屋で一息ついていると赤い封筒が目に入る。
中に入っていた便箋を読むと歓迎の言葉が綴られていた。
その時、窓に何かがぶつかる音が。
おそるおそる確認してみるとカラスがぶつかり、血を流していた。
それをきっかけとするように老人の幻影が現れ、何かを訴えようとしてきたのだ。
和美の友人の不審死、ベストセラー作家の失踪……。
全ての真相が暴かれた時、澄香が町を訪れた本当の理由が明らかになる!
Amazonより引用


感想
本作は、温泉宿を舞台にしたミステリーとホラーが融合した作品です。
主人公の編集者・春川澄香は、新人作家との打ち合わせのために訪れた宿で「赤い封筒」を見つけたことから不気味な事件に巻き込まれていきます。

物語の魅力は、最初は小さな違和感だったものが少しずつ大きな恐怖へと変わっていく展開です。
誰を信じていいのかわからない緊張感が続き、ページをめくる手が止まりませんでした。
主人公の澄香は冷静で現実的な人物ですが、異様な出来事に翻弄される姿に共感しやすく、自然と物語に引き込まれます。
また、作家の山科和美をはじめとする登場人物たちはそれぞれに秘密を抱えており、その謎が作品の不穏な雰囲気をより深めています。

終盤では伏線が次々と回収され、タイトルの意味も明らかになります。
単なるホラーミステリーではなく、人間の執念や過去の因縁が描かれている点も印象的でした。
ミステリーの謎解きとホラーの恐怖を同時に楽しみたい人におすすめの一冊です。
読後には背筋が少し寒くなりながらも、物語の真相に納得できる作品でした。


推しポイント
1.登場人物たちの言動に隠された違和感が少しずつ積み重なっていく。
春川澄香が編集者らしく冷静に状況を分析しようとする場面。恐ろしい出来事が起きても感情だけで動かず、「なぜこんなことが起きたのか」を考え続ける姿が物語を引き締めています。

2.登場人物たちの不自然な言動。
最初は何気ない会話に思えても、読み進めるうちに「あの時の発言はそういう意味だったのか」と気付かされるのが面白いです。

3.赤い封筒にまつわる謎が少しずつ明らかになる過程。
新しい事実が判明するたびにこれまでの印象がひっくり返されるため、先が気になって読み進めたくなります。
終盤で真相に近づくにつれて、それぞれの人物が隠していた本心や過去が見えてくる場面。
単なる犯人探しではなく、人間の執着や欲望が浮かび上がるところに読み応えがあります。

特に魅力的なのは、「怪しい人が怪しいままでは終わらない」点です。読者の予想を利用しながら人物像が何度も塗り替えられるので、ミステリー好きにはたまらない作品だと思います。


まとめ
本作は温泉宿を舞台にしたミステリーとホラーが融合した作品です。
編集者の春川澄香は、新人作家との打ち合わせのため岩手の宿を訪れたことをきっかけに、「赤い封筒」や不可解な現象に巻き込まれていきます。

物語の魅力は、最初は小さな違和感だったものが少しずつ恐怖へと変わり、誰を信じていいのかわからない緊張感が続くところです。
登場人物たちはそれぞれ秘密や不自然な言動を抱えており、読み進めるほどに謎が深まっていきます。

特に印象的なのは、澄香が冷静に状況を分析しながら真相を追い続ける姿や、「赤い封筒」にまつわる謎が少しずつ明らかになり、これまでの印象が覆されていく展開です。

終盤では伏線が回収され、人間の執念や過去の因縁が明らかになります。ミステリーの謎解きとホラーの不気味さを同時に楽しめる一冊です。