『朝比奈さんと秘密の相棒』
出版社 : 実業之日本社
東川篤哉(著)
装画 : カスヤナガト
装幀 : 坂野公一




今回は東川篤哉さんの作品
『朝比奈さんと秘密の相棒』を紹介します。

この作品は一見すると普通の青春ミステリーなんですが、
読み進めるほどに「えっ、そういうこと!?」と驚かされる仕掛けがあり、コミカルさとトリックがしっかり楽しめる作品でした。

物語の主人公は高校生の男子。
彼のクラスには完璧で美人で成績優秀な女子生徒
朝比奈さんがいます。
ところが朝比奈さんには誰にも言えない秘密の「相棒」がいました。

そして学校の中で起きるちょっとした事件や謎。
主人公は、朝比奈さんと一緒にその謎を解いていくことになります。
ただし、この物語のタイトルにもある
「秘密の相棒」が、実は物語の大きな仕掛けになっています。

この作品の最大のポイントは朝比奈さんの「相棒」の正体です。

普通に読んでいると「探偵役のコンビもの」だと思いました。

しかし物語が進むとその相棒の存在に違和感が出てきました。

・他の人があまり反応しない
・存在が曖昧
・朝比奈さんだけが強く意識している

そして終盤で明らかになるのが、、、
と言う感じで、この構造が分かった瞬間、それまでの会話や出来事の意味がガラッと変わりました。

事件自体は本格ミステリーですが、キャラクターの会話はかなり軽快。

思わずクスッとするやり取りが多くて、シリアスすぎず読みやすい作品でした。

そして「探偵と助手のコンビ」と思い込むことをうまく利用しているなとも思いました。

タイトルも「秘密の相棒」。

だから「相棒が誰なのか」を考えたけど、そもそも、、、?という視点にはなかなか気づかなかったです。

ここがとても面白い仕掛けでした。

朝比奈さんは
・頭がいい
・冷静
・美人
・ちょっと変わっている

というミステリー向きのキャラクターなんですが、物語が進むと彼女の孤独や内面が見えてきます。

最初は「変わった天才キャラ」に見えていたのに、最後にはかなり人間味のある人物に感じられます。

このキャラクターの印象の変化が良かったです。

この作品は
・本格ミステリー
・青春小説
・心理的な仕掛け

この3つがバランスよく入った作品でした。

特に面白いのは読み終わった後に最初から思い返すといろんなシーンの意味が変わること。

「あの場面はそういうことだったのか」と気づける作品でした。

比較的ライトで読みやすいので、
・ミステリー初心者
・コメディ系ミステリーが好きな人
にはかなりおすすめの一冊です。

朝比奈さんと秘密の相棒 は
・軽快なユーモア
・読者の思い込みを利用したトリック
・朝比奈さんという魅力的なキャラクター

が楽しめる青春ミステリーでした。
読みやすいのにちゃんと「ミステリーを読んだ満足感」がある作品です。