色違いのキャップ
色違いの腕時計
お揃いのTシャツ
そっくりな黒い細身のズボン
お揃いのティンバー
気がつくと全身がお揃い
それで恥ずかしいとも思わずにいた。
ペアルックが当たり前
お互いの服装を合わせ始めて
いつのまにか面倒くさくなって
同じになった
彼は嫌がる素振りも見せず
むしろ服を買う時にサイズ違いで二着買ってくるようになった
私もいつのまにか色違いで2つ買うようになった
もともとディズニーランドをお揃いコーデで行くのが始まりだった
それがいつしか、場所関係なくお揃いが定着
私の地元に帰った時も私たちは同じ格好だった
小学生以来の幼馴染で大親友が
目を丸くした
信じられない
あんたがこんなふうになるなんて
過去を思い返してみると
おそろいのものを持ったことなんて
ほとんどなかった
せいぜいペアネックレスやペアリングぐらいなもの
こうも全身お揃いなことなんて
昔の私からしたらありえなかった
なのに今はお揃いが落ち着く
デートスポットやテーマパークなんかにはたまにいるかもしれないけれど
私たちは普通にお揃いで普通に生活してた
誰がどう見てもバカップルでしかない
そっくりな格好をした2人で
楽しげに大はしゃぎ
夫婦漫才みたいに会話が弾む
私も彼も笑顔
こんな幸せそうなカップルなんて
そうそういないだろうな
きっと、こんな幸せそうな姿を
私の過去の彼たちが見たら
驚くんだろうな
そして、尖っていた10代後半の
私の事を知っている悪友たちが見たら
きっと大爆笑ものなんだろうな
だけど、笑われようが
バカにされようが
誰よりも幸せな自信があるから
私はどこで誰が見ているかわからない地元で
堂々とペアルックで出歩いていた