買ってあげたキャップを私に被せて

一緒にいるのに

愛してるよ

ってLINEを送ってきて

彼はまた日の暮れた総本山に戻って行った

少し時間を置いて、その後ろ姿を追いかけて車を走らせる。

すれ違いざまに窓を開けて
少しだけ顔を出す

被せられた彼の少し大きなキャップが風に飛ばされそうになる

彼と目が合う

愛してるよ

私が声に出さずに告げる

目頭が熱くなる

彼もどこか寂しそうな表情をする


こんなことさえも、出来ることが幸せて仕方ない。

彼に愛してもらえるだけで
私にとっては奇跡。

こうして、会えるはずじゃないのに会えることが幸せで仕方ない。