彼は寡黙な人。

基本的に言葉を発しない

感情表現は表情のみ

幸いなことに感情豊かに気持ちを表現してくれる

その表情から、意思をくみとってあげなければならない

そんな彼だから
肝心なことはなんにも言わない


夜中に突然

降りてきて

(当時私は都内のマンションの上階に住んでいた)

突然
なんの予兆もなく
私はスッピンのまま、とにかく服だけ着替えて飛び出す
そして朝まで拉致される。


こんなこともあった。

金曜日の夜、夜中のこと

ついた
学校の準備してきて

この短い言葉で
私は少なくとも月曜日の夜まで家に帰ってこれない事がわかる。

どこにいくか、なにをするか
そんなこと聞くだけムダだった

ただ週末中ずっと一緒だってことだけは確定する
それだで私は幸せだった


そんな言葉の少ない彼だからこそ
肝心なことはなかなか言ってくれなかった

もぉ毎週末一緒に過ごして
金曜日の夜から月曜日の朝まで一緒なんてことがざらにあって
いつのまにか月曜日の登校は駅まで一緒というお決まりすらできていた。

学校にはトップシークレットだったので
電車では頭くっつけあって寝てて
駅につくと無言で離れて歩く

そんな日々が続いているにも関わらず

私たちの関係に名前はなかった

どこからどう見ても
誰がどうみても
私たちはカップル
それもバがつく

なのに、愛の言葉はなにもなし

さんざん愛してくれているのに

言葉はなし

いつのまにか一緒にいると、全部お金を払ってくれて
呼んでもないのに飛んでくる

なのに、愛の言葉は一切無し

さすがの私もシビレをきらす

私たちはなんなの?
私のことどう思ってるの?

彼は黙っていた

少し怒った顔をすると

小さな声で、つぶやくように

考えるな、感じろ。

はい?

あっけらかんとした

愛情ダダ漏れです
それだけは伝わります

でも、ちゃんと言葉にしてくれなければ困る

感じてるよ
感じてるけど…
私の勘違いかもしれないじゃん
ちゃんと言葉にしてよ

わたしが追い込むと彼はまた黙って

車を走らせながら
彼は突然呟いた

経理、ちゃんとできる?

話が飛びすぎてて
軽くパニックになった

私は、彼氏彼女なのか?
付き合ってるのかなんなのか
そこをハッキリしてほしかった。

なのに彼の答えは、そのはるか先の次元の答えだった。

引っ越せないんだよ?

彼は珍しく言葉を続けた

明らかに結婚の話をしている

私はびっくりしたけど、嬉しすぎて泣きそうになった。

なんだってする。どこだっていい。
あなたがいてくれれば、それでいい。

4年間いないんだよ?

待ってる

待てる自身があった

私は根拠もなく
彼の嫁になる自身だけはあった

彼は果たして、きちんとプロポーズをしてくれるのだろうか…