この切羽詰った世界にむけておとぎ話みたいな話ばかり書いているように見られがちな伊坂だが、それだけじゃない。
伊坂には書かずにいられないことがある、と感じる。
深刻なことは、ユーモアに紛れさせて軽く言わないと伝わらない、ということだ。
今未来の日本は徴兵制がある、という皮肉を効かせたりして。
これは伊坂の「国家vである。
むろんそれだけじゃない。
肝心なのはディテールだ。
要約したら伝わらない。
特に画期的な国家ナはない。
人間は「システム」に奉仕するだけで、「国家」という生き物は自分が生きながらえるためにシステムを作る。
人間にとっては虚しいことだ。
しかしそれに絶望するのではなく、たとえほとんど無意味でも、目の前の悪は摘み取るべきだ。
「危険思想とは、常識を実行に移そうとする思想である」という芥川龍之介の言葉が何度も引用される。
小説家の友人として「井坂好太郎」という男が出てくる。
あとがきで「名前を考えるのがhttp://www.erogame-get.info/面倒だった」と書いてはいるが、その井坂好太郎が死ぬ間際に言う。
「小説ってのは、大勢に人間の背中をわーっと押して、動かすようなものじゃねえんだよ・・・一人一人の人間の身体の沁みていくだけだ・・・ただ、沁みて、溶ける」これが伊坂の小説観であり、書く理由なのだ。
悪くない。