あおは覚った。
これは事故だと。
日の入り間近の、片側二車線の道路に男性2人が横たわっていた。
道路脇には、傷だらけのバイクとヘルメット、グローブ、自転車などが散乱している。
はは~ん、事故の原因は自転車の無理な横断だな。
と、道路に目を向けると黒っぽい服で女性が交通誘導をしている。
女性に、そんな黒っぽい服装ではあなたが車に轢かれますよと、誘導を止めるように説得。
道路の反対側に有った赤いカラーコーンを取りに、あおは片側二車線の道路を駆け抜けた。
無事帰還したあおは、道路側の一車線を塞ぐようにカラーコーンを置いた。
すると女性は、緊急電話をかけ始めた。
本当に事故直後の現場に遭遇していたようだ。
その横では、スーツを着た男性が横たわって、うめき声をあげていた。
30代半ばであろうか、隠しきれないメタボリックなお腹には貫禄さえ感じた。
女性は、たどたどしく電話で説明を続けている。
「え~、ちょっと分からないです…。」
「あっ、すみません。この方は、何歳位ですか?」
と、スーツの男性に目を向けながら、あおに話を振ってきた。
「35歳位じゃないですかね~」
と、答えるあお。
その刹那、横たわっていたスーツの男性が口を開いた。
「にじゅう…ご~…。」
あおは、女性と目を合わせていた。
お互いキョトン顏であっただろう。
事故の衝撃で動けなくても、年齢を10歳も上に見られた事は許せない事だったのだろうか…。
数分後、サイレンを鳴らし緊急車両が現れた。
手を振って緊急車両を止め、あおはその場を後にした。



