名言っていうか、本の一節。


なぜウミツバメみたいな、弱くて繊細な鳥がつくられたんだろう、この残酷な海に。(中略)悲しげに小さな声で鳴きながら飛び回り、急降下して餌を取ろうとするあの鳥たちは、この海で生きるにはあまりにも弱い。(アーネスト・ヘミングウェイ「老人と海」)


「人間たちはどこ?」しばらくして王子様が聞いた。「砂漠って、あんまり誰もいなくて、さびしいね……」

「人間たちのいるところでも、さびしいさ」ヘビが言った。(サン=テグジュペリ「星の王子さま」)


生きていることを恥じて、ひからびた亡霊となって、おどおどして、背を丸めて、あなた方は壁伝いに歩いてゆく。だれひとり挨拶するものもいない。思えばちぐはぐな女の一生。今、ようやくあの世にふさわしく熟した、これはありし日の女の名残り。(シャルル・ボードレール「悪の華」)


目の前に雲がかかっていたのを、あなたが一息で吹きはらってくれた。簡単なことなんだ。われを信じよ。こんなことが思いつかなかった。(ダニエル・キイス「アルジャーノンに花束を」)


人生は一箱のマッチに似ている。重大に扱うのは莫迦莫迦しい。重大に扱わなければ危険である。(芥川龍之介「侏儒の言葉」)


年をとると、どうしても目覚めがちになるものだが、生とあまり長くいっしょにいると、ともすれば死に近いものとは縁がうすくなるとでもいうのであろうか。(ハーマン・メルヴィル「白鯨」)


お星さん。西の青じろいお星さん。どうか私をあなたのところへ連れてって下さい。灼けて死んでもかまいません。(宮沢賢治「よだかの星」)


僕はあぶない崖のふちに立ってるんだ。僕のやる仕事はね、誰でも崖から転がり落ちそうになったら、その子をつかまえることなんだ つまり、子供たちは走ってるときにどこを通ってるかなんて見やしないだろう。そんなときに僕は、どっからか、さっととび出して行って、その子をつかまえてやらなきゃならないんだ。一日じゅう、それだけをやればいいんだな。ライ麦畑のつかまえ役、そういったものに僕はなりたいんだよ。馬鹿げてることは知ってるよ。でも、ほんとになりたいものといったら、それしかないね。(J・D・サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」)



ほな。


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