与件

弊社は製造物の販売を業とする会社です。従業員が喧嘩別れのように退職していった。在職時にその従業員には営業用の携帯電話を渡していたが、取引先の連絡先等は返すように伝えたものの退職後も使い続けている。また、取引先のデータベースに弊社のアクセス権限を利用して営業を行っているようだ。

 

相談回答

不正競争防止法の保護の対象となる「営業秘密」とは,「秘密として管理されている生産方法,販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって,公然と知られていないもの」(不正競争2条6項)をいう。

顧客リストも当然含まれる。また、他社のデータベースへのアクセス権限も秘密管理性があり保護されるべきものであり、「不正アクセス」は認められないものである。

後者は不正競争防止法の営業秘密侵害行為類型のうち、「不正取得の類型」(4号)に該当し、その態様は「悪意」(5号)によるものである。

前者は在職時には適法に取得したものであるが、退職後はその使用を認められておらず、また自らの営業に利用していることから「図利加害目的で不正使用」(7号)で「悪意」による(8号)。

これらに該当することから、営業秘密侵害罪(同法21条1項)が成立し、告訴することも検討する(なお、現在は非親告罪となっており告訴がなくても起訴される可能性があります)。そして、営業秘密を利用して得た金銭等も没収の対象となります(21条10項)。

当然、営業秘密の侵害に対する損害賠償請求や差し止め訴訟、差止請求に際し,侵害の行為を組成した物の廃棄,侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求することもできますので(不正競争3条2項)、携帯電話の破棄などを求めることになります。