明らかになにかに怯えている理香子の姿だった。
「理香子!なにがあったんだ!?」
私が尋ねると理香子は
「何気なく外を見てたら…カラスが目の前をいきなり通ったからびっくりして叫んだんです。」
「なんだよ…。びっくりさせるなよ。辺りが暗いからてっきりなにかが出たんじゃないかって思ったよ。」
「すみません…。」


理香子が全員に向かって謝る。
まあこの暗さだったら仕方ないと思った。
「そろそろ引き上げよう。」
旗本さんが言うとみんな同意し引き上げることになった。
今回のは間違いなく殺人だ。塀の上にあった携帯電話、そして被害者が倒れていた側にあった鞄…。どう考えても不自然だ。旗本さんも感じてるだろう。今回は自殺じゃなく殺人と言うことを…。

4、5日後旗本さんから連絡があった。
亡くなった女性はどうやらホステスらしい。場所は南東京駅の近くにあるらしい。
「明日その店に聞き込みに行ってくる。またなにかわかったら伝えに行く。」と用件だけ伝えて電話を切られた。こちらも気になることがあったのだが…。
気になるといえば事件現場から戻ってきてから理香子の様子がなにかおかしい…。いつもの元気さがない。死体を見たのが余程ショックだったのかな…。
「理香子。最近元気ないな。どうしたんだ??初めての殺人現場でショックを受けたか??」
返事がない。
「理香子!!」
声を張り上げてみた。
「え…?あ、はい!」
「どうしたんだ??最近元気ないじゃないか。」
「そんなことないですよ~。プライベートでちょっとショックなことがあって。」
「そうなのか。あの殺人現場が余程ショックで元気がないのかと思ったよ。」どうやら違うようだ…と思ったんだが



事件の話をした途端、若干だが一瞬動揺したように見えた。
「そんなことないですよ~。あれはもう大丈夫です。」
きのせいだったのだろうか。
そして2日間程経った日。事件は進展した。旗本さんが事務所を訪れた。
「皆川ぁ~!!」
「旗本さん!どうでした??聞き込みは。」
その言葉を聞いた途端、旗本さんは申し訳なさそうな顔で話し始めた。
「すまん。あの事件は捜査打ち切りというか…自殺で処理することが決まった。」
…。絶句した。あんなに状況証拠があるのになぜ…。
「理由を聞かせてください。納得できません。」
そう返すと旗本さんが、
「俺だって納得できん。だが署長が決めたことだ。俺やお前ではなにもできん。今回ばかりは手を引いてくれ!」
これだけを言い残して去っていった。なにかある。警察の内部でなにかが起こっている。
…後日直接署長に会いに行こう。こうなれば私一人で解決してやる。こう心に誓った。