泣きながら幸人の家へと向かった.
クラブで散々飲んだせいで
感情のコントロールがきかない....





玄関を開けた幸人の顔は
もう,今までとは違った.





ストレスと将来への焦り...
穏やかな幸人ではなかった.




相変わらず
音楽もない部屋...





壁に貼られていたはずの
ずっと私達を見ていてくれたはずの
2PACのポスターでさえなくなっていた.




会話もちぐはぐ.





「なんか,ごめんね.」







もう,私にはそんな言葉しか出てこなかった.
初めて幸人の前で泣いた...







「なんで樹里ちゃんがあやまってんだよ?」





「もう,わかんないよ.」





そばにいるのに,
触れることさえできない.

ここのところ毎日
願い続けた瞬間なのに
その日々以上に遠すぎる.






もう,会話も通じなかった.






何かを抱いて飛び込むには
バカになれるほど若くもない.
そんな幸人のもどかしさが
つらすぎた.








苦しすぎて
つらすぎて,
でも,やっぱり幸人がいる
安心感.





でも,眠るのも
もう,一緒でもなかった.






朝早く目が覚めて,
幸人を抱きしめることができない代わりに
彼のダウンを抱きしめて.
この香りを忘れたくない.
そして,
このダウンに付いた,
私のCHANCEの香りを
忘れて欲しくない....






「ねえ,幸人?」



もう,目を合わせて会話もしない.




「私,苦しいよ?
こんな状態.
待ってろって言ってくれたら,
ずっと待ってるよ??」








返事は,ない.








「でも,私,
何も言われないこの状態で
1人で居れる自信ないよ...」










嘘ツキ......
1人でいれる自信なんて

ホントはあるのに.








「うん.」








今ならわかる.
どんなに幸人のプライドを傷つけたか.
こんな時に
待ってろなんて言えるほど
無責任じゃないから
私は好きだったのに
責めたてた.







「ねぇ...」





もう,声にならなかった.












「ごめん,今は独りにして...」











「わかった.....
でも,私,








本当に





ホントに










幸人が好きだった....」















「ごめん...」











「もう,ごめんとかいいよ...」











そして部屋を後にした.










「本当に終わったんだ...」
















あまりに
あっけない終わりに,



小さすぎる私がいた.