「レシートをください」
そう言ったように思う
でもそれは定かじゃない
オーディオテクニカのソリッドベースはAlessoのエフェクトがかかった重低音ながら哀愁漂う声を拾っていた
インナーイヤー型で密閉された脳内でただ響いていただけかもしれない
僕にだけにしか聞こえてなかったのかもしれない
むしろ言ってなかったんじゃないかとさえ今となれば思う
そんな事はどうだっていい
彼が歌うように〝気が狂いそう〟なのかもしれない
いやそこじゃない
僕が今彼のリミックスを必要としているのは
圧倒的に盛り上がる曲の中にもどこかしら切なさを感じずにはいられないからだ
誰にも話しかけて欲しくないんだ
一人で自分だけの事を考えたいだけなんだ
今、自分の範疇と力を超えた事が起こり過ぎなんだ
何と言葉を絞り出せば良いのか
僕は上手い言葉が見つからない
恐らく見つからないだろう
たとえ探し出せたところで
僕は上手く発音をする事が、空気を震わすことが出来ない
リミックスのテンポは徐々に上がっている
僕を急かすように
僕にはどうしようも出来ない
分かって欲しい