映画『スウィングキッズ』を観た。
わたし、ギョンスわりとあっさり入隊したな〜寂しいな〜と思ってました。
でも違う。
ギョンスはきっと、この作品を通して何気ない日常がいかに尊く愛しいか痛感したから、なんでもないことのようにしてくれたんだと思った。
1951年の朝鮮戦争時の捕虜収容所が舞台だから、察してはいたけど。
自由の意味。
ひと1人の命の重さ。
(重さは変わらない、すべての人が等しいのだけど、戦時中は軽く扱われるということ。)
前半はコメディ要素たっぷりでテンポもすごく弾む感じで進むけれど、中盤から苦しいまでに重さがのしかかって考えさせられた。
今、こういうご時世だし、不自由さを味わうこともあるけれど。
自分の心を無理やりに押し込めて、気持ちと真逆のことをやらなきゃならないなんてことは、わたしにはない。
だから、嘆いてはだめだと思った。
ひとたび戦争が起こると、個人の自由なんて無いに等しいし、思いも声もかき消される。
そうならないようにしておかないとな。
そして、もう一つ描かれている側面も、わたしが今観賞したのには意味深いと思えるところがあった。
世界でそう感じる人は多いのではないかな。
ギス、パンネ、ビョンサム、シャオパン、そして、ジャクソン。
バラバラだけど、繋がってる。
北朝鮮語、中国語、そして英語。
通じないはずなのに、通じてる。
ギスがジャクソンに、それまでお互い母国語で話してたのに英語で言うシーン。
I WANT JUST DANCE!!
タップのリズム。
タントゥタン、タンタントゥタン。
それは、身体の内側から溢れてくる思い。
つま先、かかと、足全体を使って鳴らす、生への執着。
自由への憧れ。
人種も思想も超えて繋がる希望。
踊る瞬間が、生きてることを実感できる時で、刻まれるリズムは鼓動そのもの。
ベニー・グッドマン sing!sing!sing!
ここっ!て時にやっぱり鳴り出して、体が揺れるの抑えられなかった。
この、ギスが自由へのタップを止めずに飛び出すシーンが観る前からすきで、観たらもっとすきになった。
I WANT JUST DANCE!!
これもまた1つの作品とも言える洒落たエンドロールで、ビートルズが世界で初めて原曲使用を許した歌が響く。
Free As a Bird
鳥のように自由に、とわたしは訳したのだけど、これこそこの寄せ集めダンスチームにぴったりで、共通する思いだと思う。
大空のように自由な舞台で、何のしがらみもなく、縛られず。
そこに響く歓声は、カーネギーホール並みの熱量だといい。
観終わって日数が経過しても、シューズの音と音楽が頭の中で鳴り響く。
人種も主義も思想も超えて、ドア蹴散らして
踊れ!踊れ!踊れ!!!!!