重い足でぬかるむ道を来た トゲのある藪をかき分けて来た
食べられそうな全てを食べた

長いトンネルをくぐり抜けた時 見慣れない色に包まれていった
実はまだ始まったとこだった

『どうでもいい』とかそんな言葉で汚れた心 今放て

春の歌 愛と希望より前に響く
聞こえるか 遠い空に映る君にも


平気な顔でかなり無理してたこと 叫びたいのに懸命に微笑んだこと
朝の光にさらされていく

忘れかけた 本当は忘れたくない
君の名を今なぞる

春の歌 愛も希望もつくりはじめる
遮るな 何処までも続くこの道を

歩いていくよ サルのままで独り
幻じゃなく歩いていく

春の歌 愛と希望より前に響く
聞こえるか 遠い空に映る君にも

春の歌 愛も希望もつくりはじめる
遮るな 何処までも続くこの道を










『孤独な人間は、孤独なんです、と言ったりしない。歩き方とか姿勢で表せたら』

3月のライオン実写版で、主人公・桐山零を演じる神木隆之介がそう言っていた。

今日公開の前編を見てまさしく感じたことで、零くんは神木くんで、神木くんは零くんだった。


色のない世界にいた17歳の零は、同じく将棋界の高みを目指し争うライバル、師匠、橋を渡った町に住む川本家のみんな、担任の先生、先輩…

さまざまな人との出会いを通して、世界には色や光が溢れていることを知る。

温かい気持ちを知る。

またなくなったらどうしようと不安になりながらも、そう簡単に消えたりしないということも。

もがいてもがいて、将棋盤にしがみついて、棋界での強さを得ながらも人としてのぬくもりになかなか触れることのなかった零。

映画序盤の零と、終盤の零では顔つきが全く違う。

原作コミックの1巻と、最新12巻の違いのように。


3月のライオンを読んで、零くんと(彼のゆかりの人々と)、成長させてもらえている気がしてならない。

映画は前編でじっくりと『零くんとは』の紹介をされているようで、もちろんサラッと言わないとネタバレなので、やはり原作とは違う捉え方が出来た。

あの場面こうなるんだ、とか、そうか原作の無言は台詞にするとこう言わせるのかとか、随所に感心するところがあって、答え合わせではないけど、視覚聴覚から辿ることが出来るのも映画ならではだなと思えた。


あと別作品だけど『聖の青春』を読んだから、染谷将太演じる二階堂晴信が愛らしくてしょうがない。
あの、玉のようにつややかな特殊メイク、メイク感ないし指までもっちりだったよ。


盤上の格闘技と言われる将棋の駒音まで、耳に残る。

パチリ、カタッ、バシッ、ピシッ


零くんも二階堂も、山崎順慶も、ハッチも、スミスも一砂も、島田八段も後藤も、宗谷名人も。


立場や年齢は違えど全てを賭けて指している。


棋士だからって将棋だけではない。
若いからって恋愛だけしてるんじゃない。

ベテランも、秘めた情熱を持っている。


後編の予告には、私の鳥肌を立たせる一文がこう記されている。

闘い続けるあなたが、
輝く一手は必ずある。



前編のエンディングテーマはぼくりりだったのだけど、なんとなく桐山零には後編のエンディングテーマの方がしっくりくるなと感じて。

早く後編見たいです。