エンジェルフライト


中国は大連市に居たときに、中国人の友だちと夜出掛けたことがあった。

あれは夏で、刺すような日差しがやっと夜の帷に変わり、街の表情までも違う風に見えた。

頭上に高速道路が走る大きな幹線道路には、法定速度も秩序もない車が行き交って、横断歩道のない場所で向こう側へ渡りたい私たちは立ち尽くしていた。

と、つと私の手を引いた彼女が車と車の間を狙って(もちろん走行している)道路を横断し始めた。

どうやら立ち尽くしていたのは私だけで、彼女はいつ渡ろうか見定めていたらしい。

時間にしてほんの数秒の横断時間は、異国であることや、実は法律違反なのではという罪悪感、スリルがごちゃ混ぜになって、スローモーションで記憶されている。

そのスローモーション中に最も強く思ったこと。


死ぬときは日本で!!


海外で日本人が亡くなった場合、または日本で外国人が亡くなった場合。





国際霊柩送還士である彼らが遺体の処置から出入国のチケットや書類手配を進めてくれる。

物言わぬ遺体に寄り添い、かけがえのない人を失った遺族のケアも。

とても必要な仕事、だけど過酷な仕事。


決してスポットライトは当たらない。


死とは生の延長にあるもの。

と思うと、明日どう生きるか、考えていかなければ。

人生は一度きり。

死を追うことで、見つめ直す生があると教えてくれる一冊。






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