著者はアーティストCocco。

初めて曲を聞いたのは中学生か高校生の時だった。

アルバム「クムイウタ」は歌詞が印象的で、歌詞カードのすみずみまで読み込んだ。

本人と同じく儚げで繊細で、力強い言葉。

もしかしたらこの人は生きにくいのかなぁと、感じていた。

だから活動休止した時は、残念な気持ちと安堵感が入り混じって、なんか母親の心境。

結婚・出産を経て復帰した時、小さくおぉっ!
「こっこさんの台所」ではやわらかに軽やかに、ひらひらゆらゆらくるんくるーんな感性が踊ってた。

そしてポロメリア。

限りなくCoccoの経験や生い立ちがもとなんだろうな。

というのを抜きにしても、思春期の心情をこんなに鮮やかに狂おしく文字にしていることが、衝撃的。

甘えたいけど照れくさい、奔放に振る舞っていて顔を窺う。

みんなどうやって生きてるの?

帯に書かれたこの言葉が、浮いてたら(出版社が煽りとして入れたなら)わざとらしくてやだと思っていたけど、これは主人公の言葉であり、Cocco本人の言葉であり、読んで分かったけど私の言葉でもあった。

風を切って自転車を漕いだから、息がしづらいと思ってたあの頃の私。

うわぁそっかぁ。
ひとたび思い出すと忘れていたこともびっくりだけど、忘れられたことに少し笑えた。

日常と時間の経過に埋もれた記憶。
匂いまでも蘇って、本を読んでるのか映画を観てるのか、話を聞いてるのか…

濃密でとげとげで瑞々しい物語。

Coccoの心が、穏やかでありますように。
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