ちょこびーる


脚本、カメラワーク、音楽、キャスティング。

こんなにぴたっときててなおかつきっと低予算。

心情描写にムダも過多もなし。

サッチャー政権時代のイギリス。

ボクシングよりもバレエに夢中になる少年ビリー。

男らしくない!と大反対する炭鉱掘りの父と兄。

認知症であろうおばあちゃん。

オカマの親友マイケル。

ビリーの才を見出す先生。

少女にして小悪魔な先生の娘。


炭鉱しか生計を立てる術のない、北東部の町。

労組と炭鉱会社との闘争。

映画館で観たときはあまりのみこめなかった事情。

ストを続けていたビリーの父ジャッキーは、

先生のすすめでビリーに英国ロイヤルバレエ学校を受験させようと

お金のためにスト破りを決行。

『親父、どうしてだ!闘うと約束したのに』

詰め寄る兄に父は

『ビリーの才能を伸ばしてやりたい。あの子はまだ11歳の少年だ。
俺たちに未来があるか?』


この思いがラストで描かれる14年後、ある場所で飛翔するビリーへとつながる。


イライラして、やり場のないフラストレーションも

ターンが初めてできてどうしようもなく高揚する気持ちも

ビリーのダンスで表現される。

そのワクワク感が、UKロックでさらに輝きを増す。

また、ビリー役のジェイミー・ベルの、小さな少年のくせに

立ち居振る舞いから目配せからがいかにも英国紳士!ってところが

はまってるんだよなぁ。


『ビリー・エリオットに家族が来てると伝えてくれ』

アダム・クーパー(もしや出演陣で一番ギャラ高額?)扮する25歳のビリー。

チャイコフスキーもきっと喜んでいることだ。

もう、この作品は所有することにします。