月曜22:00から放送されている『カンブリア宮殿』。

MCに作家の村上龍氏、女優の小池栄子氏。

毎週、主に会社経営者を招いてスタジオトーク。

事前取材で密着しておいて、VTRを交えながら経営手腕や経営哲学を探るというもの。

最初は、日経新聞のCM挟むの見て「うわ、ついてけるかな」と思ってたけど、

魅力的なゲストの方のお話を聞いていると、経営それ自体を知らなくても引き込まれるものを感じる。

で、今日の放送分が修理職人スペシャルで、予告だけで絶対見たいと思わされたのです。

時計、靴、鞄。

それぞれの修理職人の方々が現在は結構な高齢でいらっしゃる。

高校卒業後から職人道一筋の職人さんもいて、それだけに経験と研ぎ澄まされた勘は目を見張る出来栄えに

表れて。

時計修理職人さんは、広島県の小さな小さな島の時計店だけど北は北海道、南は沖縄から1日10件の

修理以来が電話でかかってくる。

「もう何件も修理を断られた」「思い出深いものだから新品に買い換えるより直して使いたい」

ここなら直してくれるだろうという期待にあふれた手紙は、長いもので半年待ちの修理後、感謝の手紙になって

返ってくる。

使えないから捨てる、ということがもはや当然のような時代に、こんなにも大事にされるものたち。

ものだけど、物品ではなく、それ自体が思い出の象徴のような。

捨てられないものって、ありますか。

待ち行く人にインタビューすると、娘にもらった財布、20歳の誕生日にもらった財布、と必ず思い出が一緒。

思い入れ。

物として見るとどこにでもあるかもしれない。でも誰かに贈られたものとか、最初のバイト代で買ったとか、

記念を物だけでなく思い出に刻んだようなものって、何があっても捨てられない。

村上龍さんが「使っているものを直して使う、ということは、人に希望を与える」という意味のことを言っているけど

修理職人の仕事ぶりや考え方はまさしく希望。

ものとして蘇らせるだけでなく、ものを大事にするということ=自分や経験、誰かとの絆を大事にするということ。

なんか前にもこんなことあったな、と思い返したら、『冷静と情熱のあいだ』で、阿形順正が絵画の修復を行う

修復士(レスタウロトーレ)の仕事の在り方、職業哲学をつかむ描写があって、それだった。

仕事を実際にしながらそんな手ごたえをつかめるというのはうらやましいなとつくづく思ったもの。

そしてその経験が順正に『僕は過去を蘇らせるのではなく、未来に期待するだけでなく、現在を響かせなければ

ならない』ということを気づかせる。

仕事が人生の全てである必要はないと思うけど、仕事で学んだことは人生に生かせる。

そう思うと、どんな仕事でもムダなものなんてないし、働く自分がそれぞれ自分なりの意味を見出せたら

ある種の人生の成功をつかんだことになるんじゃないかな。

だからたまに「AV女優とかさ~」「ホストだから、医者だからあの人~~」なんて職業偏見を耳にするけど、

言いたい。

何を重視して仕事を選ぶかは、働く本人にしか決められないし、分からないぞと。