曼珠沙華 | Blue rose

Blue rose

趣味の雑文を書き散らしております

彼のひとは岸辺から
呼ぶひとは彼方から

暑さ寒さも彼岸まで
愛し憎しも彼岸まで

もう誰もいない夕べ
花咲く渡しに誰そ彼

いのちの方舟は闇へ
こころの波間は光へ
 

寂しいと言いたくなれば
黄昏に迷い道は私を誘う
悲しいと言わないときは
宵闇が迷宮の扉を閉ざす

人通りも少なくて
そこかしこに虫の声

虫たちは 命のうたを呼びかける
揺れている 夜の闇には曼珠沙華

やまない秋の大気冷え
たどり着けない夢のよう
胸が痛んで目を覚ます

虫たちは 一夜の恋を呼びかける
揺れている 風の道には曼珠沙華

夜の闇には曼珠沙華
風の道には曼珠沙華
愛に恋とは曼珠沙華
藍の空には曼珠沙華