市民グループの請求代表者よ。聞いてくれるか?
かなり昔のことだから覚えているやつぁ少ないだろうが
俺がラオウ様の軍の兵士としてある村を攻撃した時のことだ。
不思議なことにその村の連中は少しも俺達に抵抗しやがらなかったんだ。
食糧を出せと言ったら進んで必要以上に出しやがるし、
ぶん殴ってもバカみたいにヘラヘラ笑ってやがる。
残虐なことで世界中から恐れられていた俺達もさすがに薄気味悪くなっちまってよぅ。
どう対処していいのか分からず呆然としていたらラオウ様に叱られちまったぜ、へへ…。
何でもそこの村長の言うことにはよぅ、俺達の暴力に対しては
笑顔と無抵抗こそが最高の武器なんだそうだ。
なるほど、確かに俺達は奴らの笑顔と無抵抗に気おされちまった。
思わず納得しかけたその時だった。
ラオウ様が一人のガキの首を掴んで絞り上げたんだ。
そのガキは苦しさと恐怖に耐えながら必死で笑顔を 浮かべてやがる。
村長や大人達に何があっても笑顔を崩すなと言われたんだってよ。
俺はその時その村の連中の正体に気付いたね。
幼気なガキが今にもラオウ様に〆められようとしている時に
大のおとなが揃っていながら皆ひきつった笑顔を浮かべて黙って見てやがる。
こいつらは決して戦いから訣別した聖者なんかじゃねぇ。
自分一人の身の安全のためには他の連中の命なんかどうでもいいカスどもだ。
全く吐き気がしたもんだぜ。
ラオウ様もその村人達のあまりのヘタレぶりにキレちまってよぅ。
村長を思いきりぶん殴って「さあ、笑え!! 笑ってみろ!!」 なんて言うんだ。
ラオウ様にぶち殺されたあの村長の恐怖で醜く歪んだ顔が今も忘れられないぜ。
市民グループの請求代表者よ。
あんたら見てると俺はどうしてもあのヘタレ村長を思いだしちまう。
きれいごと言うのは勝手だが、そのきれいごとが通じないような圧倒的な現実に直面した時
あの村長のような醜態は晒らさんでほしいモノだ。
頼んだぜ、まったく。