最近観た映画 | モンタギュー家の執務室

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ロミジュリから礼真琴をひたすら崇めている星担。地方民なので配信多め。
宝塚とエンタメ全般について綴ります。

先月から今月に観た四本がそれぞれ面白かったので感想を残したくなりました。


『愛にイナズマ』

映画監督志望の花子(松岡茉優)は、失踪した自分の母親をモデルにした映画の脚本準備中。

ところが、協力してくれていた筈のプロデューサーと助監督に騙され、企画アイデアを盗まれてしまう。

めげない花子は食肉流通センターで働く正夫(窪田正孝)を連れ立って実家へ帰り、父親と三人の兄弟をカメラに収め新しい映画を撮影し始める。


社会で透明人間のような扱いを受ける冴えない人たちの隠れた心情や逞しさを描いた作品。

花子が父(佐藤浩一)や兄(池松壮亮)にカメラを向け『お前らじゃ全然駄目!やっぱりプロの役者で撮りたかった(ニュアンス)』とダメ出しまくるところにかなり笑った。


厳しい現実に打ちのめされながらも、みんな悲観的にならず、上記の様な笑える場面が幾つもあり、独特で元気が出る映画でした。

『舟を編む』の石井裕也監督。


『ゴジラ-1.0』

元特攻隊員の神木隆之介が、敗戦に打ちひしがれた日本人の誇りを取り戻すべくゴジラに立ち向かう、みたいなやつ。

人間ドラマ部分は既視感ありで微妙。

その代わり、ゴジラ描写はVFXが得意な山崎貴監督の本領発揮で、特に戦闘シーンにテンション上がった。大きいスクリーンで観れて満足。

ゴジラの顔が可愛くて好き。


『正欲』

何を書いてもネタバレしちゃうやつで感想ムズい。

多様性という言葉が広まり、なんとなくマイノリティーを分かったような分かっていないような今日この頃。


実に様々な性癖を持つキャラクターたちが登場して、その生き辛い日常がそれぞれの目線で描かれ、やがて繋がっていく。

マジョリティー代表が主人公で稲垣吾郎演じる検事。

不登校の息子を理解できない彼と、マイノリティーな人々を演じる新垣結衣や磯村勇斗たちとの対比が見事で、こういうの語り口が上手いっていうのかな。脚本が切れ味鋭く、おススメです!

ラストも鮮やか。

『あゝ荒野』の岸善幸監督。


『首』

北野武監督で豪華キャストだから、本能寺の変の謎に迫る本格時代劇と思いきや、全然違って面食らった。

interestingよりfun寄りな面白さ。


バラエティーで見たような下らないギャグシーンと戦国の残虐さが一緒くたにくるから、ずっと不思議な気持ちで観てた。こんなコントとグロのマリアージュってあるんだ。

TVで見たら寒いコントも時代劇の中だと新鮮でかなり笑える。


羽柴秀吉(ビートたけし)と明智光秀(西島秀俊)がメイン。

抜け人(忍者集団を脱退した忍者)の曽呂利新左衛門(木村祐一)が1789でいうラマール的でちょこちょこ自由に動く面白い役どころだった。


秀吉は、新左衛門に命じ、信長の書いた書状を手に入れる。その書状は天下を揺るがすほどの内容で、それを利用して光秀を拐かし、本能寺の変を企てる。


生々しい合戦シーンは気合いが入ってたし、有名な役者がいろんな場面で登場する豪華な作りながらも、従来の戦国ドラマにありがちなロマンや忠義、家族愛を一切排除した作風で割と好みだった。


どの武将も左を向いて冗談を言いながら、次は右を向いて人を斬る、て感じで淡々と人が死んでいく。


秀吉が光秀を謀って、天下を掠め取るのは『へうげもの』と似た展開なので、さほど新鮮味は感じられなかったけれど、全くカッコよくも美しくもない、ひたすら天下を賭けて、無様に争う武将たちの描写が容赦なくて面白かった。


レイティングR15+で、性的なシーンや残酷なシーンが目立つので苦手な人にはおススメ出来ません。


映画として完成度が高いと感じたのは正欲。

クセ、インパクト強めなのは愛にイナズマと首。

楽しいのはゴジラー1.0でした。