チャンミン(ただ今黄桃に化身中というか酒席のポカでされてる中)は、青い龍の彫られた硝子卓の上で「あー・・・チッ」と再び舌打ちした。
ええ桃になってもこんななんて才能じゃない?
桃って普通キュートたまんなーいって存在じゃない?
ユノが琥珀とシトリンの衣の上の小さな頭を傾げると、宮殿の上を極楽鳥が朗らかにさえずりながら羽ばたいていった。
「僕は今、大きいクッションくらいのちょうどいい大きさでしょう?腰かけてもやぶさかではないですよ?お?」
「つぶれちゃわないかな」
ユノはツンツン、と細かな産毛におおわれた皮をつつく。
「固い」
なんかバキバキすじばってそうに固い。
「ねえその2つの葉っぱで紐かなにか持って縄跳びしたら、ファンのみんな喜ぶよ!」
「誰ですかファンって」
「なんか混線してるみたいだよ」
ユノにしてこの古代の東方と現代が入り交じった世界の王は、ふと体を傾けて細い鼻すじをチャンミン(桃だが)に寄せた。目を閉じてふんふん、と匂いをかぐ。チャンミンは葉を水平に卓についてピン!と伸びあがった後、また先ほどとは変わった、だが「デュフ、デュフフ」としか表現できない感じで揺れた。
「甘い匂いもしない。お前、本当にチャンミンなんだねえ」
「どんな姿でも僕の心は王にあります」
「ありがと感動した」
ユノはそうだ!と両手を合わせると
「重さはどうかな?」
そう言って胸に桃を抱きあげた。